Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

キッチン・コンフィデンシャル

「キッチン・コンフィデンシャル」アンソニー・ボーディン著。

発売と同時に、大ベストセラーになったという業界暴露本である。
著者は、月曜日に魚料理を食べない、という。なぜか?
アメリカの魚市場は、週休二日制だ。
木曜日に注文した魚が、金曜日に入っている。では、土曜日と日曜日の魚はどうするのか?
もちろん、冷蔵庫の在庫を使うに決まっている。
さて、月曜日に、シェフは魚を注文する。この魚は、火曜日に入ってくるのだ。
で、冷蔵庫をのぞき込む。。。そこに、色が落ちたカジキマグロが転がっている。木曜日に注文した魚だ!これを捨てれば、そのままロスだ。そこで、ランチに「スペシャルメニューのカジキマグロ」が出てくる。
絶対にばれないように、たっぷりのホワイトソースが惜しげもなくかかっているわけだ。。。

この本は、そういう業界裏話のほかに、飲食業(水商売)のルールがいっぱい出てくる。
猥雑な冗談、しばしばハメをはずすホールスタッフ達。
この雰囲気は、かつてレストランや居酒屋でバイトを経験した人なら、なんとなく理解できるものだろう。

別に飲食業に限らない。ハードなビジネスの世界における鉄則を学ぶという意味で、本書はたいへん優れている。
約束は守れ。守れない約束はするな。
会社を変わったあとで、そこのスタッフの悪口は言うな。動機がカネのためなら、それは良い。
不正はするな。必ず、つけこまれ、堕落する。
シェフには絶対服従しろ。
なぜあいつが、俺より評価が上なんだ?という疑問を持つな。地獄におちるだけだ。ただ従え。

まるで、ギャングのような掟だ。しかし、この掟は、たぶん業種を問わずに有効なものだ。
そういうタフな心をもって仕事をしたい人は必読。
今、仕事で悩んでいる人は、その問題を解決はしないけど、問題に立ち向かう気力を与えてくれるだろう。実は、問題解決に一番大事なのは、それなのだ。

評価は☆☆。この著者のレストランと同じで、決して三つ星ではないけど、価格と費やした時間に対してキチンと満足を与えてくれる書物だと思う。