Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

もてない男

もてない男小谷野敦
一部で名著として名高い(笑)

古今東西の「もてない男」を、文学作品を例にひきつつ解説。
童貞、自慰、妾、結婚不要論まで、章別に「もてない男」を考察している。
いわば「もてない男」を俯瞰した構図になっている。

しかし、本書は、それ自体が矛盾した存在である。
何故か?
簡単にいえば、著者の小谷野氏が決して「もてない男」ではないからだ。
東大卒で、大学で客員の助教授?などして、著作もそこそこ売れる。
もてないわけがない。
だから、もてない男に関する考察がアマい、と思う。ま、エッセーである、と本人が言うとおり。
「年齢=彼女いない歴」は、なんとなく私の周囲では珍しくもないんだが(^_^;)何故そうなるかはこの本を読んでもわからないし、もちろんモテるようにもならない。
「ああ、おれはモテるんだ」と安心できるわけでもない。
しからば、この本はなんのためにあるのか?

私が思うに、女性が「ああ、もてない男って、話題にならないけど、本当にいるのね~。カワイソー。私がなんかできるわけじゃないけどさ」と思うためにあるのである。
早い話が、女性にとって「全くモテない男」は、そもそも世界に存在しないかのごとく無視される存在であるので「もてない男」がいる、という事実を知って貰うためには役立つ。
それだけである。

しかしながら、これは当然だ。
小谷野氏は学者である。学問というものは、それが役立つか否かとは関係ない。
役に立つから立派な学問、そうでなければ無価値な学問ということはない。
学問は、役に立たないから尊いのである。

よって「これはエッセーである」という小谷野氏の説明こそ責められるべきであろう。
どうせエッセーなら、少しはモテない男に役立つ内容を書くべきじゃないか(泣)
女子にばかり受けてどうするんだ?!
そう、この本は女性にうける。なぜなら、小谷野氏はモテない男じゃないからである。

真にモテない男の宣言であるなら、やはり「電波男」のほうが上だ。

同じテーマだし、電波男より考察不足だと思うし、著者はもてるし、むかつくから星ナシにしたいところだが、公平にみて、このテーマの先駆的書物である価値を評価せねばならんだろう。
よって☆とする。

モテない男は、こんな本を読まないで、電波男を読み、オタクとして生きるか女性に復讐するかを決めたほうがいい。
今までモテなかった男が、多少金回りが良くなってもモテるようにはならない。だいたい、女性との接し方なんぞ、とうの昔に忘れているさ。