Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

トゥール・ダルジャン

いわずとしれた、世界最高のレストラン。
世界で唯一、支店があるのが日本である。

いくらなんでも、こんな店に気軽にいけるわけもない。
ただ、毎秋には、出店記念週がメモリアルウィークとなって、うまく招待チケットを入手すると、安く食べられるわけである。安いといっても、そこらのレストランよりは。。。

いくらかでも安くしようとランチで訪問。
まず、サロンで友人と待ち合わせる。そのサロンもゆったり。高級なソファでくつろぐ。
メンバーが揃ってから、トゥール・ダルジャンの銀器が飾ってある通路を通り抜けていよいよテーブルへ案内される。
通路を通っている間に、トゥール・ダルジャンの歴史と豪華さ(なにしろ、銀器すべてが芸術品!)に気圧される。

やたらとたくさんのスタッフがサービスしてくれるが、そのサービスが一つ一つ心地よい。テーブルサービスをしてくれるメートル、料理を運ぶラン、そしてソムリエ。すべて別の担当者が対応してくれる。

一応、肉と魚のフルコースを食べた。
肉は、幼鴨のロースト マルコポーロ風。胡椒のソースである。このソースはうまかった。
もちろん、例のナンバーももらえる。
値段は、女性用のメニューには書いていない(笑)

ホテルニューオータニの広大な庭を眺めながら、心地よいサービスでの食事。
ワインが進んでしまう。ワインリストから、プロヴァンス産を選んだが(ランチだし、南仏風に気軽にと考えて)結局4人で1本では足りないので2本飲んでしまう。食前酒のシャンパンも合わせると、結構飲んだことになる。
このペースで飲んでしまったから、勘定は4人で軽く10万円を超えてしまった。

当日、ちょうど誕生日のお客さんがいらっしゃって、ケーキのプレゼントがレストランからされていた。居合わせたお客がすべて拍手で参加した。
気がつくのも早いし、気を遣わなくても良い。確かに世界最高のサービスを味わうことができる。
カトラリーもすべてトゥール・ダルジャンオリジナル。
これこそ、グランメゾンだ。

問題なのは1点。つまり、この勘定書に見合う味じゃないってことである。申し訳ないが、私にはそう思える。
鴨のソースは確かにうまかった。でも、記憶に残ったのはそれだけ。一品一品の料理に、せまってくるものがない。前菜はもっともシェフの主張が見える料理だと思うけど、ただただ無難。魚は軽く仕上げているだけ。デザートは、ま、こんなものでしょう。。。
みんな、無難にこなされている。シェフの挑戦とか、主張がまるで見えない。

それは、単にクラシックフレンチだというだけじゃない。
クラシックフレンチでも、もっと激しく、もっと胸に迫る、魂のほとばしるような凄い料理を出す店はある。最近流行の雑誌にカネを払ってのっけてもらわなくても、きちんと生き残ってきた老舗レストランの中には、すごい店があるのだ。いついっても、その味に感動し、必ず次回も来るぞと決心する店がある。
そういう迫力が、この料理にはない。
トゥール・ダルジャンが、三つ星をとれなくなったのは、ひょっとしてそのせいではないのか?
伝統と名声に安住した無難な料理になってしまったのではないか?

評価は☆だ。そんなものだと思う。
グランメゾンらしい雰囲気、ワインリストの素晴らしさ、行き届いたサービス。
しかし、これだけの値段をとるなら、味はもっと頑張るべきじゃないか。
まして、私が行ったのは、メモリアルウィークなんだから、ふだんはもっと高価なわけだ。
なおさら、シェフは頑張らないと。

まあ、こちらの舌が、高級料理についていけないだけかもしれないんだけどね。