Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

はん亭


根津の老舗串あげ屋さん。10年ぶり以上に伺った。
一体、何年経っているかわからない建物。風格があるというより風情があるというべきか。中は清潔である。商売にもかかわらず、脂汚れっぽさがない。見事である。

蒸し暑いので、まずビールを頼む。ビールは「ビン」である。最近の「生」は、中身が発泡酒だったりする。呑めば一緒という気がしないでもないが、「生」発泡酒、というのはなんとなく羊頭狗肉じゃなかろうか?などと思う。

出てきたのは、なんとサッポロラガー!通称「赤ボシ」である。こんなところでお目にかかれるとは!
すっかり感激。一口「ああ~、うまい~!!」至福であるなぁ。

串揚げは、3本づつセットで出てきて2回、都合6本食すると「次はお持ちしますか?」と聞いてくれる。これを好きなだけ繰り返す、というシステム。6本セットの前に、それぞれ「お通し」が出てくる。調理場では、いろんな串を勝手に揚げており、揚げたてが次々6本づつ運ばれてくるわけだ。

お通しの野菜スティック(これがまたうまい)を囓りつつ、あつあつの串あげを食べる。しいたけ、合鴨、アスパラ、豚、太刀魚、沢ガニ、稚鮎。。。
かぶりつくと、中からアツアツの汁がじゅうっと流れ出るのがわかる。なんたる絶妙の具合か。

サッポロ赤ボシのうまさは、無類である。ビール好きなら、このビールをこそ飲むべし。麒麟のクラシックを苦み控えめにした感じで、のどごしが良く、エビスほど重くない。いくらでも呑める。ドライのように、イヤな後味がない。バランスの妙を心得ている。
気がついたら3本も空けてしまった。こんなにビールを飲んだのは、何年ぶりか。
串揚げを結局18本食べた。言うことなし。サクサクとした実に美味い串あげであった。

お会計をして帰る。会社の近所の串あげ屋と同じくらいの金額。だけど、呑んだ酒の量を考えれば、これは安いなぁ。「ありがとうございました」と、お店の名前入りの団扇をくれる。パタパタとあおぎつつ、根津の駅へ。月まで優しく見える夜なのであった。

もちろん、☆☆☆。
この店のような店は他にない。評判に恥じないと思う。できれば、混んでいない平日がよい。雨の日なども、別の風情があると思われる。窓際のテーブルに座って、雨の根津の町を眺めながら赤星を頂くのだ。
落ち着いた店の雰囲気、どことなくノンビリして丁寧な対応の店員さん、なんだか古い昭和そのものを感じる。もちろん、料理も手頃で旨い。いつまでもいつまでも、残って欲しい名店である。