Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

理由

これは、ただのたとえ話である。ある町の困窮者が減らないわけである。

ある町に、100人の困窮者がいて、自由に使える年度予算が1000万円あった。この予算は少ないが、町にはとにかく1000万円しかない。
そこで、この1000万円を「困窮者に分配しよう」ということになり、これは皆が賛成した。
ところが、その配分方法を巡って議論になった。

A氏いわく「やはり、平等の原則により、各々に10万円づつ支給するがよかろう」
B氏いわく「それは反対である。10万円は、ないよりマシではあろうが、しかし、1年間に10万円を支給して、いったい困窮者が救われるものであろうか。ムリである」
A氏「では、いかがすべきか」
B氏「100人に公平なる『くじ引き』を実施し、当選者1名に全額を進呈すべし。年間1000万円あれば、まず当面、苦境からは脱するであろう。よって、確実に1名を救い得るというべきである」
A氏「しかし、残り99名は全く救われぬではないか」
B氏「100名に均等に分配すれば、1人も救い得ないことは言うまでもない。であれば、99名を見殺しにして1名を確実に救済することこそ、理にかなう方法である」
A氏「今は救い得なくても、100名に平等に分配すれば、のちのち生産力が増えたときに、ついには100名全員を救い得るのであるから、やはり平等に配分するがよかろう」
B氏「それは全く希望的観測による主張であろう。くじ引きで決めた1名に1000万円を進呈すれば、彼の生活は立ち直り、あらたな生産者(納税者)となる可能性は高いというべきである。より早く困窮者を救う方法は、まず1名を救い、残る99名を今は救わぬ決心をすることにある」

A氏とB氏の論争は収まらなかった。
そこで、政治家は言った。「A氏の論とB氏の論の中間をとり、人によって少しづつ配分額を変えて分配することにしよう」
A氏は反論した。「平等の原則にもとる決定です」
B氏も反論した。「結局、誰一人救えぬ決定です」
しかし、政治家はこう言った。
「いや、配分は人に応じねばならぬ。配分の仕方については、専門の役人をおいて判断させよう」
しぶしぶ、二人は納得した。

役人は、1000万円から配分するための経費を半分とったうえで、残り500万円を、困窮者にそれぞれに応じて分配した。

結果、誰一人救済することはできず、政治家は役人のせいにし、役人は政治家に言われたとおりやっただけだと言い、A氏はB氏のせいだといい、B氏はA氏のせいだと言い合った。そして、困窮者が貰える金は半分に減っている。しかし誰の責任か、結局わからなかったので、その町にはいまだに100人の困窮者が存在し続けている。もちろん、誰が悪いか分からないから、配分方法もそのままで、変化はない。