Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

自転車少年期

「自転車少年期」竹内真

著者の同名の単行本を改稿した文庫版。

単行本の改稿具合が気になるので、思わず買って読んでしまった。

ふうむ。。。これ、そんなに「いい話」かなぁ?ちょっと、正直なところ、イマイチううむ、、、と思わぬでもない。

単行本は、「初めて自転車に乗れた日」の感動から、自転車を通して友情を培って、やがて人生の荒波に向かう、、、というシンプルなストーリィで、それなりに「フムフム」なところがあったのだ。

この文庫版では、それがやがて、主人公の子どもが自転車に初めて乗れた日まで描かれ、自分と子どもの人生が二重写しになるところまで書かれている。
そう、私には「縁のない話」になってしまったワケだな(苦笑)。読み手に問題が多い、、、のだろうな。

にしても、ちょいと話の平板な展開はなんとかならんもんか、と思う。
友情、失恋、転職、、、まあ、人の人生なんて、だいたい似たりよったりの部分が多いのは仕方がないと思うけど、なんとなく、一つ一つのエピソードに「奥行き」が感じられないんだな。ありきたりのシーンを繰り返し、という感じがつきまとってしまう。
別にテレビドラマ化されたから悪口を言うわけじゃないけど、テレビの2時間ドラマ並の陳腐じゃないかな。

評価は無印。
あきらかに、単行本のほうが凝縮された良さがあった。改稿は失敗(と勝手に断定)。

自転車少年記、というタイトルだけど、まあ、見事に登場人物達の「精神的成長」がない物語であるのだ。テーマが「いつまでも少年」だから仕方がないんだけどね。
ある意味で、大人になっても成長しない部分が残ってしまうということの面白さが、一つのテーマだと思うんだよ。そういう意味で、旧作(単行本)のほうが良かった、と言うのである。

成長のない40過ぎ独身自転車男の勝手な言いぐさ、であるから、気にしないように。初読の人は、また違った感想を持つのじゃないかと思うしね。