氏真は、和歌をよくし、公家と連歌を楽しみ、蹴鞠の名手だったと伝えられる。国を無くしたこともあって「どうしようもない文弱の徒」だというわけだ。
事実は、意外とそうではないのでないか?という話もあるようだ。何しろ、相手にしたのが徳川家康に武田信玄なのだから、彼が相当の能力があったとしても、国を維持することはできなかっただろうということである。
事実は、意外とそうではないのでないか?という話もあるようだ。何しろ、相手にしたのが徳川家康に武田信玄なのだから、彼が相当の能力があったとしても、国を維持することはできなかっただろうということである。
しかし、私は、お歯黒で公家と一緒に蹴鞠にうち興じている「ダメな氏真」でいいように思う。
氏真は、結局「今川」という名家の生まれが幸いして、徳川の旗本になっている。かつて、自分の国を奪った男に仕えているわけで、プライドのある人間なら耐えられることではないのかもしれない。けれども、彼は平然と、毎日蹴鞠をし、連歌を楽しんでいた。そう考えると、なにやら愉快ではないか。
私は知らなかったのだが、氏真が政略結婚した夫人とは仲が良く、氏真が敗亡の憂き目にあっても生涯一緒に連れ添ったのだという。彼女の父親の北条氏康は、天下に響いた名将である。立派な教育をしていたに相違ない。