Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

日本酒が売れない

日本酒が売れないそうである。すでに、2003年に、国内出荷量で焼酎に抜かれ、以後も低迷。苦しい経営を続ける蔵も多いそうだ。

私は左党である。政治信条的には右翼らしいけど(笑)そっちは「左きき」なんですな。それが、どうも最近日本酒を飲まない。
焼酎、ワイン、寝酒にウィスキーなどを飲んでいる。
ひょっとしたら、酒の分散化が原因じゃないかと思う。どの商品にもいえることが、日本酒の世界にも押し寄せた、ということじゃないかな。

日本人は、体質的に酒に強い民族ではない。アルコール分解酵素の関係で、これは仕方がないことである。
つまり、日本国総体で評価したとき、アルコール消費量の全体が決まっている。焼酎やワインが売れれば、そのぶん日本酒の消費量が落ち込むのは道理だろう。

最近の若い人は、酒を飲まない人が増えているそうだが、これは日本だけでなくフランスも同じで、若者でワインを飲む人は既に3割もいないらしい。全体のパイが減るわけだ。日本も事情は同じで、そのうえ日本酒以外の酒も売れるようになってきたのだから、日本酒にとっては厳しい。

しかし、それだけではないように思う。
フランス人にとって、ワインは日本酒と同じく国酒だろう。それが売れないのは、文化が変わってしまったからに相違ない。日本酒が売れなくなったのも、同じ理由だろう。

自分が日本酒を飲まなくなった理由を考えてみると、たぶん、食事をゆっくり楽しまなくなってしまったことが大きいと思う。帰宅して、くたびれているので、簡単にあり合わせの総菜と野菜程度で食べてしまう。食事時間が短い。すると、ビールを一杯ひっかけておしまい、である。よくよく考えてみると、これでは食事じゃなくて給餌だろう。侘びしい話である。

たまに、何か美味いものを、と思うと、フレンチだの中華だのが結構多い。やっぱり、ワインとかビールなどになってしまう。それでも割烹や寿司屋に行った場合は、ビールだけではなくて、日本酒を飲む。刺身、寿司などの和食には、日本酒のほうが合う。もっとも、隣の美女が「ワインにしましょう」と言えば、迷わずワインにしてしまうけど(苦笑)
会社の仲間と飲む場合は、焼酎である。ああいう場では、とにかくワイワイやればいいので、酒にこだわらない。焼酎を頼むヤツが多いと「じゃ、俺も」と簡単に言ってしまう。はなから、じっくり飲む気がない。

思えば、若い頃、日本酒を飲むと言えば、じっくりと飲むものであった。世の中のせいか、その「じっくり」が今はなくなった。なんでも簡便、コンビニエンスでスピーディが良いのである。それならそれで、酒屋の「角打ち」いわゆるコップ酒なんて良いのじゃないか、と思うのだが、実際に「立ち飲み」は人気が出ているそうだ。ただし、その立ち飲み屋でも、ビールや酎ハイが幅をきかせているが。
蕎麦屋酒なんてのも、さっさと酒を楽しむ流儀としては上等だが、これは江戸の特異現象だからなぁ。業界全体の浮揚には役立ちそうにない。

そういう文化の移り変わりが、日本酒衰退の原因だとすると、これはなかなか、回復は難しいのではないか。スローフードが流行っているが、なんのことはない、コンビニ弁当の売り出し文句になっているのが実情なんだから。

今日はお月見だそうである。月見酒を、酎ハイだのビールだのでやるのは無粋なように思われる。今日は日本酒をちびちびと飲もう。

そんな文化が見直されれば、少しは日本酒も売れるようになるんだろうが、と思ったり。余計な話である。