Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

カスを引く

新銀行東京ですが、私は追加出資には反対です。
その理由ですが、単純に言えば「見込みがないと思う」からです。
以前にも書きましたが、経営的に成り立つ環境がないのに、血税を投入しても無駄になるばかり。
もっとも、東京都はお金持ちなので、それぐらいのカネを中小企業に垂れ流したところで、びくともしないので「いいじゃん、じゃんじゃんばらまいちゃえば」的な発想はアリなのかもしれません。しかし、それなら銀行なんぞにしないで、文字通り助成金とかにしちゃってばらまいたほうがいい。たかがカネをばらまくのに、わざわざ銀行をつくるのは非効率であります。ヘリをやとって空から蒔いたほうが安いじゃないですか(笑)

まあ、それは冗談ですが、新銀行が経営的に成り立たない最大の要因ですが。これ、単純に「カスを引くから」だと思うのです。

中小企業で、資金需要のある会社は、掃いて捨てるほどあります。たいがいの中小企業はそうです(笑)ですから、貸してくれるなら、喜んでお金を借ります。
ただし。お金を借りるには「条件」があります。
借金とは、つまり「借りる」側と「貸す」側の、条件の見合いですわな。

で。中小企業といえども、優秀な会社は都銀からお金を借ります。金利が安いですからね。
まあまあ、の会社は、信金さんと付き合います。金利は都銀よりも高いけれど、地元密着で融通が利く。中小企業の資金需要は、規模は大きくないかわりに、足が速かったりしますので、これは大きいですね。
で、新銀行は「次」の位置になります。金利はもっと高い、けれども、信金よりは借りやすい、そういうポジションを目指しています。

そこで、問題ですが。「新銀行」の次は、どこから借りますか?これ、普通の回答は「マチ金」なんですよ。金利はと~っても高い、けどもとにかく早いわけです。資金繰りの忙しい会社にとっては、それでも手が出るわけですな。

ところが。ここで例の「グレーゾーン金利廃止」の問題が立ちふさがります。利息制限法で15%、もう高金利はとれないわけです。こんな金利で貸し出していると、イッパツ倒産食らった日には、マチ金もいっしょにオダブツとなります。実際に、市中の金融業者の倒産は増えているようですな。

さて。
金融業というものは、ベニスの商人の昔から、回収が最大のノウハウであります。で、だいたい、会社が苦しくなると「都銀→信金→マチ金」とグレードが落ちていくわけです(笑)で、上位の金融機関ほど、危なくなるとさっさと手じまいしているのですね。なんでマチ金に行くかといえば、もう他が貸してくれないからですし、それ以前にさっさと「貸しはがし」に逢っています。銀行が「オイラいち抜けた」をやった後、マチ金さんが登場しますのでね。
これ、時間差はありますが、実は「銀行の借金を返すのに、マチ金からカネを借りている」ってことなんですよ。一番抵当の都銀が一番つよい、じゃあ都銀を先に返さないと。そうやって、なんとか上から抵当権抹消して、とうとうマチ金が残る。そこで力尽きると、自社ビルがマチ金さんのものになるって寸法なんですけどね(苦笑)

で、新銀行が描いた図は「都銀→信金→新銀行→マチ金」と。つまり、ケツをマチ金にもっていって、なんと手前で抜ける、これが基本戦略のはずなんです。
だけど、グレーゾーン金利廃止で、最後のマチ金に力がなくなる。すると、どうなるか?
「都銀→信金→新銀行」
ですよ。
最後に「ババを引く役目」が回ってきているのですな。これは、あきません。勝ち目はないですわ。

「おいしい位置に座って、ババは他人に回す」これは、金融の基本です。株式投資しかり、債権しかり。

ですから、新銀行はうまくいかないのです。
負け戦は、さっさと手じまいするに限ると思うのですがね。

石原知事もやっぱりぼんぼん。生き馬の目を抜く金貸しの世界には、到底通用しません。三十六計逃げるにしかず、じゃないですかねえ。

*昨日、追加出資が確定しました。たぶんダメだと思いますが(苦笑)。博奕に負けた場合は、手じまいのタイミングが肝心だと思うんですがね。