Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

地震でエネルギー政策を考え直す

岩手・宮城内陸地震の威力のすさまじさに、たいへん驚いた。
しかも、この地震は、いわゆる「活断層」で起きたものではなくて、まったくノーマークの場所だった。
地震学者は、このような事態を「自然に教えられる」と表現したが、いかに謙虚な表明であろうとも、早い話が「わかりません」ということである。
すると、これは非常に困ったことになるのではないか、と思う。

今回は幸いに被害がなかったが、柏崎刈谷原発はいまだ停止したままである。言うまでもなく、地震の影響である。
原発の立地には、充分な注意を払って地盤調査が行われているはずであるが、柏崎刈谷では「見逃した小さな断層」が大きな地震被害をもたらした。
そこに、今度の岩手・宮城内陸地震である。いよいよ「断層が見あたらなくても、大きな地震は起こる」ということになってしまった。
いくら調査しても、もはや「地震の安全地帯」などは存在しない、という結論に至るよりほかあるまい、と思う。
これは、なかなか困った事態であると思うのである。

我が国発電量の30%が、すでに原発によってまかなわれている。原発は、運転中のCO2排出が原理的にはないので、もっと増やすべきだという意見もあるくらいだ。まあ、おかげで「地球温暖化原発推進派の陰謀だ論」という奇想天外な話も出てくるわけである。ユダヤ陰謀史観と同レベルの与太話ではある。
しかし、現実の話、原発をあちこちにつくると、このままではいつか「大地震の大当たり」にならぬとも限らんではないか。まぐれあたりの確率は増える。何しろ、そもそも予測不能だということは、今回の地震でよくわかった。

発電所だけが問題でなく、再処理工場や最終処分場に直撃を食らったらどうか?という問題だって浮上する。「青森六ヶ所村付近には、活断層はありません」ないから安全だとは言えなくなった。大問題ではなかろうか?と思う。

実は、原発に関しては、さらにまずい問題が発生する。ウラン鉱石の不足という事態を受けて、価格が高騰しはじめていることだ。

資源エネルギー庁の発表によれば、世界のウラン需要量は7万トン。ところが、現実にウラン生産は4万トンしかないのである。ではどうなっているかというと、実は米ロ同意に基づいて、廃棄した核兵器のウランを転用しているのである。

たとえば、ウクライナはロシアと同じソ連時代から核保有国であったが、小泉政権時代に大統領が来日し、小泉首相は経済協力の実施を発表した。これは、日本の資源確保の意味からも重要であったし、非核保有国の日本が核兵器の廃棄を行った国家を支援する意味も含めていた。
「核を廃棄すれば、ウランが売れる」「日本も支援する」というわけで、なかなか老獪な政治テクニックである。おまけに、ロシアと中国の背後にあるウクライナと有効を深めるというのは、安全保障上も大きい。もちろん、こんな良いことは日本のマスコミは報道しないのであった(苦笑)。
よって、日本は、核ミサイルを減らしながらウラン燃料を安定的に入手している。

しかしながら、2013年に米ロ合意の期限が切れるので、米ロは再び核装備を増強する可能性がある。ロシアは「大国志向」を復活させているから、たぶんそうなる。すると、アメリカも、右へ習うに違いない。
たちまち、ウランは世界的に不足をするはずである。需給関係の逼迫を見越して、ウラン価格が上昇しているわけである。
ロシアは、2013年以降の核兵器廃棄分のウランを自国へ優先供給することを表明済みである。国際市場で、ますますウラン価格は高騰するだろう。

ウランの主な産出国は、オーストラリア、カナダ、ニジェール(アフリカ)そして最大は中央アジアカザフスタントルキスタンである。
ウラン価格高騰の背景には、もちろん中国をはじめとする新興国の需要の高まりがあるわけだ。すべてそうだが(苦笑)
中国は、資源漁りを露骨に行っており、もちろん宝の山であるトルキスタンを手放すわけがない。「中国の核」を考えるとき、トルキスタンはなくてはならぬのである。
中国の「トルキスタンチベット-四川」は、ウランが加工されて核兵器となって配備されていくルート「核回廊」になっているのではないかと思う。

ウランの増産は、特にオーストラリアやカナダが行っているが、それで世界需要を満たせるかどうかは不明である。ひょっとすると、ウラン不足で運転できない原子炉とかができる可能性だってある。
石油が危ないから、将来エネルギーは原子力だ、などという考えはいささか早計だということである。話は、そう簡単ではないのである。

ちなみに、核拡散防止条約に加入していないと、世界市場からウランを調達することは不可能である。つまり、日本が核装備すると、原発を動かす燃料はない、ということを意味する。30%の発電を失ったら、それでジ・エンドとなる。核装備するより早く亡国となってしまう。世界は難しいと知るべきであろう。

日本の石油エネルギー効率は、米国の倍であり、世界でもっとも石油効率がよいのである。これは、日本の隠れた資源なのである。
ちなみに、中国の石油効率は、米国の1/4と言われており、日本との対比では1/8になってしまう。これは、古い石炭炉が多いことなども関係しているのだが。
つまり、中国が日本の省エネ技術を手に入れると、原油の輸入量を8倍に増やしたのと同様の効果があるわけだ。胡錦涛が、反日路線を転換した理由であり、つまりはこの技術が欲しいのである。
福田首相は、民間に技術提供させようと圧力をかけているのだが、民間企業だって苦労して開発した技術を、ハイそうですかと簡単には出さない。で、どうするか?それが「消費者庁」なんじゃないか?と私は睨んでいる。最強の権益を持つ役所ができるというのは、つまりはそういうことだろう。

話がそれた。

今回の地震の教訓を率直にとらえるならば、原発の増加には慎重でなくてはならないと思う。
だからといって、省エネをつきつめたところで、中国や米国ではないので、もうそれほど日本に省エネの余地がないのではないか。

先日、世論調査で、省エネのために「いつの時代の生活までならもどして良いか」という質問があったそうだ。
面白いことに男性と女性で回答が違っており、男性は2000年、女性は1990年が最多だったらしい。

2000年、、、それって、何が違うのか(笑)
1990年は、私自身は携帯電話ももってなかったし、まだポケベルの時代だったように思う。
男の方が、変化に対応する覚悟がなくて保守的、たぶんそういうことか。ううむ。。。

ここいらで、「毎年、エネルギー消費量が増えること=成長」と思う思想を捨てないと、なかなか厳しいことになるのではないか、と思うのだけど。