Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

アースウィンド

「アースウィンド」ロバート・ホールドストック。

7000年後の世界で、惑星イーランに宇宙船が難破する。地球は石器時代に退行してしまっていて、銀河に広がったエレクトラ党という政権が、古い植民惑星イーランの再調査にやてきた、というわけである。再調査、といいつつ、目的はおきまりの「開国要求」だったりする。宇宙版ペリー提督という感じである(笑)
ヒロインは、その惑星イーランで、なぜか生命再生のシンボルみたいな役割を果たすことになっていく。
イーランに残された三重渦のシンボル「アースウィンド」と、地球のつながりは何か・・・?

みたいな、まあファンタジー系な話なのだが、サンリオにありがちのぐちゃぐちゃの訳文である(苦笑)
この「アースウィンド」だが、どうも背景は易経のシンボルと関係がある。
そうだとすると、易経を知っている人間なら「アースウィンド」=「地風升」と解釈したいところである。

この作品では、惑星イーランに残る予知学と、宇宙船メンバーが持ち込む予知学の対立が物語の軸になっている。
宇宙船メンバーが信奉するのが「易経」で、イーランでは「変化の書」である。
ところが、英語では「chages=変化の書」とは、つまり「易経」という意味なのである。同義語なのだ。
これ、実は単に易経の卦の解釈をめぐる論争なのではないの?と思える節があるのだ。
易を小説のモチーフにしたものでは、P・K・ディックの「高い城の男」が抜群の名作なのだが、実はこの時期、アメリカのSF作家が東洋思想に傾斜したことがあって、他にも結構例がある。
そういう一群の小説のひとつ、と思えるのだが。
日本語訳は、日本語「らしき」文章で、特に後半はひどくなり、まったく意味がとれなくなる。
そういう意味で、たしかに奇怪な書には違いないのだが、、、なんか嬉しくないんだよね(苦笑)


評価は無☆。というか、本作の価値を判定不可能だから。
たくさん小説を読んでいると、なかにはこんなものに当たる場合もあるわけだ。(苦笑)

しかし、若かりし頃は、こんな小説を知ったかぶりして読んでいたんだなあ。
今、再読すると、こらあかん(笑)
若けの至りとは、そんなもんなんでしょうなあ。