Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

父の真珠腫

父が真珠腫にかかり、手術をすることになった。

真珠腫とは、中耳のできものである。
父は、以前から中耳炎を患うことが多く、近年では片耳の聴力がめっきり落ちた。
家族は、補聴器が悪いのだと思っていた。
しかし、補聴器を代えても、一向に改善しない。
その上、最近は軽い吐き気があるという。
たいしたことと思わなかったが、気休めに、耳鼻科へ行ってみたらよかろうとなった。
そして、この病気が判明したのである。

父の真珠腫は、どうも位置が悪く、脳に近い場所にあるという。
手術をして、うまく取れることを祈るしかない。
術後の聴力の改善は望めない、ということだが、それどころの話ではない。

母は「もっと早く医者にみせればよかった」と言う。
父は、引退後、だんだん気むずかしくなり、なにかと口うるさくなった。
聴力のことも言っていたが「またか、歳をとれば耳くらい遠くなるよ」と聞き流していたのだ。

私だって、同様である。
帰省したとき、父が聴力のことについて、ぼそぼそと言った。私は、はあはあと簡単に言っただけだった。
それだけで終わりだった。父は母に聞いてもらえなかったから、私に言ったのだろう。
そのときのことを思い、私は言葉がない。

手術は明け月曜日と決まった。早いほうが良い、いろいろ考えると出来なくなるから、と父は言った。
幸い、耳鼻科の紹介で、専門医のいる大学病院を紹介してもらえた。
全身麻酔を伴う手術である。明日には検査だ。

大雪も一息ついて、空港も復旧したようだ。
幸い、病院は空港に近い。
私は、帰ろうと決めた。
なにも出来るわけではないか、大丈夫だと、なんの気休めにもならない言葉をかけたいのだ。