Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

傘の柄

長らくブログをお休みしてしまいましたが、なにしろ公私ともに激動しており、時間がなかったのです。
その上、この震災です。
拙宅の被害は、せいぜい「積ん読」の本が崩れた程度ですが、突然の津波に襲われて、命を落とした方々の無念はいかばかりか。言葉にもなりません。
ご冥福をお祈りするばかりです。

今、たいへんな問題になっている原発放射能汚染ですが、ついに茨城県のほうれん草が出荷停止となりました。
そのニュースを見ながら、ある光景に私は胸をつかれました。

「せっかく育てたのに、出荷できないのは残念だが、政府の決めたことで仕方がない」と語る農家の姿でした。
雨が降っておりましたので、その農家の方は傘をさしていらっしゃいました。
その傘は、100円のビニール傘のようでした。
そして、その柄が、真っ赤に錆びていたのです。

100円の傘を、その柄が真っ赤に錆びるまで使うこの農家の方が、どんなに誠実に野菜作りをしてこられたか、想像するに難くありません。
私たち「東京の人」が、100円の傘の柄が真っ赤に錆びるまで使うことは、ほぼないでしょう。
そして、その東京の人たちが使う電気のために、原発がつくられて、彼の畑はダメになってしまった。
土壌の汚染については、今後の調査を待たねばなりませんが、深刻な事態は充分に予想できます。

その傘の柄を見ながら、なんということになってしまったのか、つくづくと思いました。

原発については、まだまだこれからが本番です。
最悪の事態を回避するための、必死の努力が続いています。
しかし、その後も、さらに厳しい道が待っています。

この輪番停電がつづく東京ですが、ひょっとすると、我々の生活そのものを考え直すべきなのだろう、と思います。
京都議定書をきっかけとして「低炭素社会」で「高エネルギー効率」を目指した生活の結論は、原発推進でした。CO2を出さないから、優れた発電だと言っていたわけです。
しかし、その実態はどうだったか?
そんなふうに思ってしまうのです。