Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

暗闇の終わり

「暗闇の終わり」キース・ピータースン。

前に読んだ「夏の稲妻」が非常に面白かったので、同じ作者の作品を読む。
こちらは、デビュー作らしい。

主人公の「スター」紙の記者、ウェルズは、大規模汚職事件を追っていたが、いよいよ真相解明へ、という段階になって編集長に「もっと読者の喜ぶテーマを」という指示で、少年少女の連続自殺事件の取材をさせられる。
これも仕事だと割り切って取材に行くウェルズだったが、取材先で、この事件は自殺でなく殺人だと告発する不思議な声を聴く。
家族や関係者の話をきき、ウェルズの書いた記事は、少年の自殺の社会的な理由を問うものだったが、編集長が勝手に「事件の真相は自殺ではなく他殺ではないのか」という記事に書き換えて発表してしまう。
そのほうがスリリングで、読者を喜ばせると考えた編集長の仕業であった。
ウェルズは憤慨するが、同時に、この自殺事件におかしな点を感じ、継続取材をする。
現地の関係者は、ウェルズの取材は扇情的な週刊誌以下の記事を書くためであり、真摯な取材姿勢は詐欺だとして反発。
ばったり再開したかつての恋人が、命の電話サービスをやっているのだが、この恋人にも愛想を尽かされてしまう。
言い訳をせざるを得ないウェルズであったが、連続自殺はさらに続く。

そして、ウェルズは、ついに意外な真犯人を特定したのだった。


記者ウェルズのシリーズの1作目ということであるが、明らかに前回読んだ「夏の稲妻」よりも雰囲気が固い。
登場人物の特色も、うまく生きていない。なので、やや退屈なところがある。
しかし、これがデビュー作と思えば、水準以上であることは確か。
評価は☆。

評価がイマイチな理由は簡単で、ヒロインのランシングの魅力が生きていないからである。
あのランシングのツンデレっぷりが不発なので、そこが不満なんである(笑)。

どうでもいいが、ハードボイルド小説を読んでいると、やっぱりジャズを流したくなる。
こりゃあ、どう考えてもハリー・ボッシュの影響だろうと思う。
しかし、バーボンもタバコもいらない。
本書の主人公ウェルズは、バーボンではなくてスコッチ派である。
当たり前だろうと思う。なんで、バーボンなんて、あんな甘い酒を喜んで飲むのか。
そんな男がハードボイルドというのは、おかしいんじゃないか、と思っていた。
スコッチなら、まあ、納得である。
ちょいと水割りにしたらツマミはなし、それが正しいのである。そういうわけで、本書は納得である(笑)