Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

画期的判決

日本の司法も劣化は否めないなあ、と慨嘆することも多いのであるが、画期的判決を下した判事がいるようである。

「銀座のクラブママが夫に「枕営業」 妻の賠償請求を棄却」というニュースを読んだ。

ようは、男性の某会社社長が、銀座のクラブママと7年間にわたって店外デートを繰り返していた、というもの。男性は、その間、ママの経営するクラブに定期的に通っている。これに対して、社長の妻が「不貞行為だ」と言って慰謝料を請求した。女性は「性交渉はなかった」と抗弁。
で、東京地裁の始関(しせき)正光裁判官が下した判決は「典型的な枕営業」と認定し、妻の請求を退けた、というもの。

始関判事いわく
「売春婦が対価を得て妻のある客と性交渉しても、客の求めに商売として応じたにすぎない」「何ら結婚生活の平和を害するものでなく、妻が不快に感じても不法行為にはならない」
枕営業は優良顧客を確保するために要求に応じて性交渉をする営業活動」「枕営業をする者が少なからずいることは公知の事実だ」「客が店に通って代金を支払う中から、間接的に枕営業の対価が支払われている」として、枕営業と売春は「対価の支払いが、直接か間接かの違いに過ぎない」とした。

いかがだろうか。
ニュースでは、この判決に対して弁護士は「社会通念上の受け入れがたい」と言っているようだが、そんなことはない。水商売のクラブで、店外デート、いわゆる枕営業をする者がいることは、まさに周知の事実である。しないホステスと、するホステスがいるわけだが、するホステスに「するな」と言ったところで「営業妨害」だと言われるだけである。彼女らは、上客を掴むために、している行為にすぎないのである。裁判官のいうごとく「ショーバイ」なのである。

もしも妻が不貞を訴えるのであれば、夫と離婚して、慰謝料をふんだくれば良いのである。
この裁判で訴えられたのは、クラブのママである。
裁判官は、クラブのママがショーバイのために枕営業を仕掛ける生活権を保護したのである。
ホンネを言えば、このママを訴えた妻に「そんなのは不貞じゃないが、不貞だと思うなら離婚して元夫からたんまりせしめろや、ゴルァ!てめえのダンナの下半身の緩さを棚に上げて、ショーバイする人から金を巻き上げるんじゃねえ!!」ということではないだろうか。

つまり。被告人のママが否定しているが、仮に性交渉があったとしても、なんらママに問題はない、という快刀乱麻の回答なのだ。

まさに、名判決である!

はっきり言えば、社会通念上、仮に上記の枕営業が「不貞行為」だとしても、相手の女に金員を要求するのはおかしい、と皆が言うと思う。いわゆるクラブの枕営業は、確かに売春行為である。
売春は善ではないが、しかし、それがただちに夫婦生活の破たんを意味するものではない。
夫のフーゾク通いが止まないからといって、相手のソープ嬢を訴える妻がいるだろうか?
夫を締め上げるなり、別れるなりするかもしれませんが、相手のソープ嬢を訴える人はいない。なぜなら、ソープ嬢は職業上の使命で夫の相手をしているのであって、別に愛情があるわけではないからだ。
さらに大物の奥さんは、そんな夫を放置するが、それはつまり夫婦間の愛情とは無関係で、ただの営業だと知悉しているからである。
(もっとも、報復のために、妻も女性向け風俗を利用するという選択肢は検討されて良いと思うが)

久々の画期的な判断である。
こういう世情に通じた裁判官が増えれば、もう少し、司法も市民に理解されるようになると思うのですなあ。