Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

やっぱり金目でしょ

古いタイトルで恐縮です(笑)。
(しかし、よく考えると、今の安倍政権を作ったのもノブテルですからねえ。この人、変な意味で、政治を動かしてますよね)

で、話は、例の豊洲移転の件であります。
豊洲の調査結果から、ヤバイものが出てきたと思ったら、今度は築地からも続々と見つかっているようですね。
東京の埋立地なんぞ、しょせん、そんなものでしょう。

どうせ地下水を飲むわけじゃないし、豊洲でいいじゃないかという声も当然あるわけですが、石原都知事が「地下水を、飲めるレベルにまで浄化するので」と移転反対を押し切った経緯があるんですね。
そうすると、都知事が変わったら約束は反故でいいのか?そんな韓国の慰安婦合意じゃあるまいし(笑)、トップが約束したことを知事が変わりましたので、でチャラに出来るわけねーだろ土人かよ、という話が出てきます。

まあ、どっちにしても決めなきゃならんので、ついでに築地残留案もあるこったしで掘ってみたら、この有様。
どっちに転んでも、小池知事としては茨の道でしょうな。

豊洲にぶちこんじゃった6000億円がもったいないという話もありますが、サンクコストですので、どのみち取り戻せません。
経済学の常識では、「途中まで見ちゃった映画がつまらなかった(代金は支払い済み)の場合に、途中で退席するかどうか」という有名な問題があります。
回答は、中途で退席ですね。
なぜかというと、払ってしまったチケット代は、もう戻ってこない(サンクコスト)。
で、映画はつまらない。
映画を中途で退席して、町でもぶらつけば、また面白い風景に出会えるかもしれませんが、支払ってしまったチケット代がもったいないからと映画館にいるのは、さらにムダの上積みになります。
つまり、サンクコスト(戻ってこないお金)は、すっぱり諦めるのが正解です。

もちろん豊洲の場合は、使える可能性もありますから、そこは今後の判断次第ですが、少なくとも「お金を払ってしまったから」で決めるのは、経済学的にサンクコストと考えると間違いということになります。
(サンクコストの説明をしている経済学者が、豊洲移転派だったらしく、真逆の解釈をしているのに苦笑しましたがね)


で、この豊洲移転反対派ですけど、実は市場の安全云々は関係ないだろうと思っています。
「ようは金目」なんです。
その金目は、少なくとも2つあります。

1つは、市場の施設利用料の件です。平たく言えば、家賃ですね。
築地は、古い物件ですので、家賃が安いわけですよ。
ところが、豊洲は新築ですから、家賃も上がります。低温化が必要な施設利用料は40%上がるだろう、と言われています。
これが、店子にとっては嫌なわけです。
実は、築地の扱い高は、年々、少しづつ減少しています。
大手流通や飲食チェーンは、築地を通して仕入れをしません。すでに、直接買い付けをしているわけです。二次流通の地位は下がっています。
店子にとっては、右肩下がりの売上予想の中で、家賃が上がるのを歓迎しないわけです。

2つめは、ブランド価値です。ブランド価値といいますが、これもお金に換算できます。
そこらの個人店の居酒屋は「毎日、築地から直送!」という幟が立って、生ビールを売っておりますね。
そうすると、つい、ふらふらと店に迷い込むわけであります(笑)
で、これが「毎日、豊洲から直送」に変わるわけです。これで、客が呼べるか?がブランド価値ですね。

まあ、築地だって決して良い環境じゃないんですが、それでも、何十年かけて「築地」というブランドを作ってきたわけです。
テレビで、腕利きの板前のいる日本料理店は、必ず築地に親父さんが行って、アジだのタコだのを見ながら「今日はいいのが入ってるねー」なんてやることになっております。
築地で仕入れ=旨い店、という図式をつくってきたわけです。
そういうイメージが、築地の寿司屋をつくり、観光客も呼んできました。

豊洲移転に合わせて、大手寿司の喜代村が出店するはずだったんですが、この問題が大きくなる前に、辞退して撤退しています。おそらく、喜代村は「豊洲ブランドが出来るまでの採算を考えるとマイナス」と考えたのでしょう。ビジネスですから、儲からんと思えば、やめるのは当然です。

つまり、豊洲問題の中心は、何も科学的な「安全性云々」じゃなくて、ほんとはお金の話、つまり経済問題だと思うのです。
安全云々が問題になってしまったのは、豊洲移転の口実に「より安全な市場」などといって、かなり無理な目標設定をしてしまったからに過ぎません。
地下水飲むわけじゃないし、そんなの、どうでもいいはずです。

目先もありますし、もちろん、この先何十年も考えての損得勘定が、この問題の中心でしょう。
つまり、これは政治問題じゃなくて、純粋な経済問題じゃないでしょうかね。

そう考えると、そもそも「仲卸」という業態とかが、あまり先行きがよろしくない気もするんですよ。
いっそ、豊洲はイベント会場か何かに転用し、築地も潰して売っぱらって、公設市場なんざ潰してしまう、というのもアリかもしれませんね。
都が税金使ってやる仕事じゃないだろ、という判断は、あるかもしれないと思ったりします。

まあ、現実に、そこまでドラスティックなことは、言えないでしょうから。
タテマエだけの虚しいやり取りを、しばらく、生ぬるい目で見守ることにしている次第ですなあ。