Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

カズオ・イシグロ氏ノーベル文学賞受賞

カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞受賞。
正直、少々意外でした。
なぜかというと、私はイシグロ氏を「大衆作家」だと思っていたからです。
その理由は「私を離さないで」にあります。


この作品は、大変意味深い作品ですけれども、しかし臓器移植のために育てられる子供という舞台設定はどうみてもSFなのですね。
となると、かなり昔からSFファンであった私としては「士農工商犬SF」というヒエラルキーを思い出してしまうわけですよ。
すなわち、SFであるからには、一段低く見られて当然である(苦笑)
カズオ・イシグロはSFに手を出してしまったから、もう高級な純文学の作家ではないのだ、、、という固定観念があるわけですよ(苦笑)
それが、まさか、ノーベル文学賞とはねえ。
驚きました。

ま、考えてみればノーベル文学賞では、昨年はボブ・ディランですからね。
選考委員会も、文壇でのみ評価される作品よりも、何か現実の大衆を動かす力を持った作品にシフトしているのかもしれません。

なお、カズオ・イシグロ氏の最高傑作は、やはり「日の名残り」だと思います。


当時の書評を読み直すと、この本を読んだのが2008年だったんですね。
この年に、私が会社を追い出されることになるんです。
そういう「落日の予感」が、この本を手に取らせたのかな。

なにはともあれ。
氏の受賞を、心から祝福します。