Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

海底二万里

海底二万里ジュール・ベルヌ

 

自粛期間といいつつ、零細ITエンジニアたる自分の生活には全く変化がないのだが(苦笑)そこは気分である。
自粛にふさわしいのは古典だ、というわけで、すでに記憶もおぼろげな本書を読むことにした。

 

たしか、この本を読んだのは中学生の頃かと思う。
学校の図書室に、たいへん気が利いたことにベルヌの本がシリーズで並んでいたのである。で、これを端から読んでいったわけだ。
面白いのなんのって!
それ以来、私はSFという分野に心を惹かれるようになったのである。
そんなベルヌ先生の代表作。

 

ところが、改めて読んでみると、これが実に面白いのである。
主人公のアロナックス先生と助手のコンセイユ、銛打ちのカナダ人ネッド・ランドが巨大一角獣(これが実はノーチラス号だった)に救助されたのが日本沖。
そこからノーチラス号は太平洋をハワイ沖まで航行してから南下し、インドネシアからフィリピン沖、インド洋に抜け、紅海から地中のスエズ運河を抜けて地中海へ、さらにジブラルタルを抜けてアフリカ沖を南下、南氷洋から南極大陸へ接岸し、そこから南アメリカにそって北上、さらにヨーロッパへ。
英仏海峡を抜けて北欧沖でノーチラス号はメールシュトロムに遭遇、そこで彼ら三人は脱出用ボートでなんとか脱出する、、、というわけだ。
まさに世界一周である。
改めて読んでみると、結構なボリュームである。
中学生が勉強をほっぽらかして、毎日読んでいたんだなあ、と実感した。

このノーチラス号電気推進であって、それだけでも画期的なのだが、その電池がなんとナトリウム電池である。
いまだ開発中の代物だが、これができればレアメタルのリチウムを使わなくて済む、というので大注目されている。
というのも、リチウムはそうそう出るものではないからである。(バッテリーが高いのはリチウムを使う限り避けられない)
ベルヌが指摘するとおり、ナトリウムなら海中に無限にあるわけで、すべての問題が解決。
人間の想像力というのは恐ろしい。

 

で、ウン十年ぶりに読んで気がついたのだが、ノーチラス号の船内の食事はすべて海産物(まれに海鳥)によって成り立っているのだが、反対に、出すほうのトイレの記述がないのである。
まあ、船だから、垂れ流しで問題ないはずだが、潜水中ではそうもいかないはずである。トイレが逆流してしまう。
ボートの記述でエアロックを装備しているので、同じような仕組みをトイレに持っているのか、あるいは船内の空気補給のため浮上するから、そのときに放出するか、していたのだろう。
トイレのためにエアロックをつくるのも大変そうなので、やっぱり浮上したときに放出かなあ、などと考えるのである。
この大切な疑問に、なぜ、中学生のときに気が付かなかったのであろうか。
つまり、私が齢40年を重ねて、ようやくトイレ問題に気がつくようになった、その程度の進歩であるということである。
ううむ。。。なんとも言えないわな。


もちろん、評価は☆☆☆。
こんな面白い本を、読まずに死んだらもったいない。
映画もあるらしいけど、この大名作をやはり、じっくり味わって読むのが良いと思うのである。
発表当時面白くて、それから150年以上たって、やっぱり面白い。
こんな小説は、そうそうあるもんじゃない、と思うのですなあ。