持続化給付金事業について、国民民主党の玉木議員が国会で、業務委託が「再々再々委託」されている実情について質問し、梶山経産相が驚く場面があったようだ。
くだんの事業は、20億円の中抜き社団法人経由で電通に丸投げ、そこから大日本印刷やらパソナに孫請け、さらにそこから関連子会社に投げられたそうで、やしゃご請けとなる。
安部総理は「適切な処理」だと言ったそうだが、そりゃそうだろう。このスキームは、今回特別に組まれたものではないだろうから。
つまり、「事業」が決まったあと、経産省は「いつものとおりに」電通に丸投げする絵を描いたはずで、電通もそのつもりでいただろう。入札なんぞは、出来レースに決まっているのである。お役所仕事というものは、だいたいそんなものだ。
で、「いつものとおりに」処理したら、今回は金額がでかいので、国会で啄かれている、という構図に思われる。
何が言いたいかというと、どうせ普段から電通に丸投げしているのであって、つまりこれが日本の縮図だということなのである。
今回の「事業」は、中小企業にカネを配るのが目的である。電通には、カネを配る機能がない。カネを配ることを目的にするのであれば、りそな銀行やNTTファイナンスに頼んだほうがよっぽど目的にかなっているだろうし、その機能がある。
でも、そうしない。それは「ポジションにないから」である。
なんで、わけのわからん社団法人が問答無用に20億円(えらいピッタリした金額ですなあ)中抜きするのか?そりゃ「ポジションにある」からである。
「ポジションにいる」ことで、カネが入る。そのほかに、なんの創意工夫もない。こういうのを「既得権益」という。
創意工夫という労力やコストの投入がなくても、ポジションにいれば利益が得られるのであれば、人の努力の方向性は「ポジションにいる」ことに向けられる。
業務の質の改善ではないのである。
日本人は働き者だと言われるが、特に多くの優秀な人たちの努力は、仕事の質の改善ではなくて「ポジションの確保」に向いている。
だから、この20年停滞している。
仕事の質を上げるのは、優秀な人材でなければ出来ない。優秀な人材は、優秀なので「ポジションを確保する」ことのほうが大事で、「仕事の質」を上げることは大して重要でないことを知っている。だって、彼は優秀だから。
で、仕事の質が上がっていないので、お金を配ることも、なかなかままならない。
かくして、電通は儲かるわけだ。
これが、日本である。