愛猫と出会ってから、もう10年になる。
出会ったと言っても、ほんとに家の前にいたのだ。お腹を空かせて、ニャアニャアと大声で訴えていた。
拙宅の近所には、代々野良猫がいて、その柄がそっくりである。おおかた、あのノラさんの一族であろう、と思った。(なんと、現在も野良さん一族はちゃんと血をつないできているようである。もはやこの町内の守り神クラスであろう)
私は、当時の会社が外部資本に買収されて、役員だったので当然居られなくなり、なのに住宅ローンを組んで家を買ったという無謀極まりない生活をスタートしたばかりだった。
おお、こいつも大変なんだろうと、へんな連帯感が芽生えてしまい、そのまま拙宅の猫になった。
あれから10年たった。
予想通り、すごく大変なことが数えきれないほど起こり、冗談抜きに辛酸を嘗めた。
それでも、なんとかやっている。
どんなときも、愛猫がそばにいた。
彼女のカリカリも、ちょっと質が落ちたこともあったけど、今は、それよりは少しだけマシな品質になった。彼女は、とくだん気にしないで、毎日文句も言わず食してくれる。
そんな姿をみると、ついつい苦労をさせた時期のことを思い出してしまい、好物の猫缶だの「ちゅーる」だのを開けてしまう。文字通り、猫かわいがりである。
昨日は東京は大雨。
で、いつものように、自宅で読書三昧を決め込む。年齢のせいか、本を読むと、ついウトウトしてしまう。
で、気がついたら、愛猫が隣で寝ている次第。
もう10年かあ、としみじみ思う。
猫の年齢から考えると、そろそろ老猫ということになる。
ほかに、なにも望まないから、とにかく元気で、一日でも長く一緒に暮らしたい。
猫族と人間族ですから、種族が違うのですが、やっぱり長年一緒に暮らしていると、特別な絆が生まれるように思いますなあ。
向こうが、どう思っているかはわかりませんけれどもね。