昨年の9月から、突然左耳の聴力を失う「突発性難聴」に襲われ、耳鼻科に通ったがいつものステロイドがまったく功を奏さない。
私の難聴の引き金を引いたのは、間違いなく30歳の頃に発病したメニエール病で、ひどい目眩発作と激しい耳鳴りを伴う。
今まで、何度か発作を繰り返し、その都度、投薬治療でなんとか聴力をキープしてきた。
しかし、昨年の5月に久々の発作を起こし、その後、投薬でやや持ち直した。その時点で、左耳の聴力はマイナス10デシベルくらい。まあ、我慢しないといけないかと思っていた。従前はほぼ0デシベルdまで回復していたのだが、加齢もあるし、やむを得ないと思っていたのである。
それが、8月末頃に大きな耳鳴りがして(なぜか、今回は目眩がなかった)再びステロイド治療をしたが、まったく効果がない。マイナス56デシベルという悲惨な状態で、聴力は「爆音ならば、なんとか聞こえる」程度になった。ふだんは「つーん」というばかりで、何も聞こえない。
会話にも不自由し、仕事にも悪影響があるので、なんとかしたいのだが、実は突発性難聴は治療の難しい病気で、実際にはステロイド治療を行ってダメだと次の手がないに等しいのである。高圧酸素だとか、ステロイド注入だとかあるが、だいたい効果がない。
ステロイドも長期は副作用で危険であり、3ヶ月経過して治癒しないと、それでもう治らない。
どうしても諦められず、色々と治療法を探し、耳鼻科の主治医に意見を求めたところ「ブロック注射はどうですか」と言われた。
知り合いには、整体だの鍼灸だのと言われて調べてみたが、はっきり言って3ヶ月経過したものは治癒しない。逆に早期であれば、放置していても3分の1は自然治癒するらしいから、気休め以上のものではないと考えた。
注射は嫌いだが、こうなればブロック注射とやらを、受けるよりほかにない。
ブロック注射とは、簡単に言えば神経節に打ち込む麻酔注射で、かの田中角栄が顔面神経痛のとき、これを受けて改善して有名になった。当時はオカルト扱いだったようだ。
今でも、なぜブロック注射が効くのか、明快な作用機序はわからない。
しかし、効果はたしかにあるので、保険も適用されている。
かなり技術の必要な治療法なので、一般の耳鼻科ではだいたいやっておらず、専門のペインクリニックに行くことになる。これが、余計にブロック注射を「マイナー治療」にしている原因だろう。
主治医は「星状神経節ブロック」を進めたが、自分で調査して、さらに効果が高そうな「上頚神経節ブロック」をやっている先生を見つけた。
この注射は、内耳の位置から非常に近いので、効果は高いが、かなり危険の伴う治療である。上頚神経節は、静脈に近いから、下手をすると静脈に麻酔を打ち込んでしまい、生命に関わる事態が起こるからだ。
私が見つけたF先生は、この危険な注射を独自の手技で練達し、ほとんど無痛で打ってくださる医者だった。ご本人は謙遜されるのが、当方に言わせれば「神業」である。
そして、この医院が、実に奇妙な医院で、K先生というフシギな女性の先生がいて「ヒーリング」をやってくださるのである。まあ、気功のようなものである。
K先生が手を当てると、、、あら不思議、どんどん手のひらが暖かく、しまいには熱くなってきて、背筋にゾワゾワ、サワサワと「なにか」が走るのである。
わけがわからないし、費用もそれなりにかかるが、ほかに頼るところもない。
私は、1ヶ月間、毎週2回、この治療に通い続けた。
その結果。
左耳は、マイナス36デシベルになった。20デシベル改善したのである。
電話くらいなら、不自由なくできるようになった。マイナス56デシベルだと、電話の声も聞こえない(なにか音はするが、聞き取れない)。
治療開始したのが1月終わりで、難聴ですでにほぼ5ヶ月経過している。耳鼻科ではまったく治らなかった。
狐につままれた気分であるが、この不思議な先生の治療に通っている。
まだ改善が続くのか、それとも、このあたりで限界なのか、それはわからない。
わかっているのは、私の耳は、すでに標準治療では「見放された」耳だということである。
つまりは、尋常の手段ではどうにもならない。であれば、非常の手段に訴えるほかないのである。
非常の治療を、もうしばらく続けてみようと思っている。
(K先生のヒーリングでは、不思議なことが他にも起きている。それは、また別の機会に書こうと思う)