Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

北京大学てなもんや留学記

北京大学てなもんや留学記」谷崎光。

 

映画で「キングギドラゴジラ」というのがある。もちろん「モスラ対ゴジラ」でもいいんだが、キングギドラのほうがいい。
何が言いたいかというと、チャイニーズと関西オバハンは、どちらが強いか?ということである(笑)
著者は、30もとっくに過ぎてから、支那に留学して、かの北京大学に学んだ。もちろん、外国人留学生という枠である。
そこでの実体験が生き生きと綴られている。

北京大学というのは古くからある大学で、日本でいえば旧制大学のようなイメージらしい。
偏差値もナンバーワン、、、ではなくて、ここらは清華大学あたりに負ける。
しかし、抜群のエリートであることには間違いない。
清華大学が理系を中心とした現代のスマートなイメージであるのに対して、北京大学は古くからの文芸を愛する、ややダサくも高尚なイメージがある大学という立ち位置のようだ。
そんな彼らだが、ホンネは共産党が嫌いらしい。
しかし、実際には共産党に入党し、国家公務員に殺到する。なぜかといえば、その後の圧倒的に有利だからである。
公務員の給料は大したことがないのだが、裏の副収入が膨大なのである。まあ、日本の悪い政治家を思い浮かべれば良いようだ。
「あなたが役人になったら、賄賂を受け取るか」という質問に対して、十人中九人までが「受け取る」と答える。
もちろん、カネが欲しいというのも理由である。
しかし、それ以上に、周囲が怖いのである。もしも、十人中九人までが賄賂を受け取る国で、自分ひとりが受け取らないとしよう。何が起こるか、わかるだろうか?
そう、確実に「陥れられる」のだ。これが恐ろしい。であるから、身の安全のためにも、賄賂を受け取るべきなのだ。
そういう国柄なのである。

反日も有名だが、これは虚実が入り混じっている。
なにしろ、すでに実際の戦争を経験した世代は遠い。あとの世代の情報はほぼ完全に統制されている。
反日は公式見解もそうだし、実際に小学生のときから反日資料館に見学に生かされ、蝋人形で再現された残酷シーンを見させられるわけで、それはそうなる。
けれども、その裏には戦後にあっという間に復興した日本に対する羨望もたぶんにあるし、反日デモなどは官製であるのも事実のようだ。
やっぱり反日なのだけれども、しかし、その根拠は虚実入り交じって頼りない、というのもありそうである。

個人的には、支那に行く前は靖国無関心派だったのが、支那に留学してからは賛成派になった、というのが笑えた。
外国に暮らすと、自分が日本人であることを痛感するのは、よくあるようである。


興味深い話が沢山出ていて、実に面白い。
評価は☆。
どうも、日本人が支那について書くと、無意味に礼賛するか、もしくは全否定に走るしかないのがほとんどである。
このひとのように、実際に現地で実感すると、礼賛はしない(とてもできない)けれども、全否定はありえない(大変魅力がある人々)というのが多いと思う。
悪いのは中国共産党なのだ。(このひとも本書でそう言っている)
ただし、中国共産党というのは、すでに支那にとっては「必要悪」のレベルにまで到達している。
日本の、ちょっと昔の暴力団のようなもので、それなりに存在意義があるのである。
まあ、政治というものの実相は、そんなものかもしれないな、と思う。
私は、政治が理想を実現する手段なのだ、などという戯言には一切付き合わないことにしていますのでねえ。