Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

禁錮7年

池袋母子死亡事故の院長先生、検察からの求刑は禁錮7年という異例のものとなりました。これは、検察が強く実刑を求めている、というサインですねえ。

 

先日読んだ「殺人ドライバー」には「2人やっても3人やっても5年6ヶ月」という恐ろしい言葉があります。

自動車運転で人を轢き殺してしまうと業務上過失致死になります。この上限が懲役7年なんですね。で、裁判では実刑判決が出るときは、だいたい8掛けです。「反省している」とか、あとは裁判長が弁護士の顔を立てる、とか理由は言われておるのですが、まあ「相場」ですね。つまり、もっとも重大な「2人もしくは3人死亡」という結果のとき、求刑が懲役7年で判決が懲役5年6ヶ月です。

では、1人ならどうか?これは、求刑がぐっと下がってせいぜい2年半とか。すると、判決では懲役2年で、3年以下は執行猶予がつけられますので、ほぼ執行猶予付き。つまり、今の日本では「1人やっても刑務所には入らない」が普通です。

どうせ刑務所に入らないのだから、となりますと、そもそも逮捕しない。死亡事故でも1人なら在宅起訴で済み、刑務所にも入らない、というわけです。

元女性アナウンサーが死亡事故を起こしたのに逮捕されなかったというので「上級国民」だと批判されましたが、まあ普通なんです。

 

そういう「相場」からすると、今回の検察求刑は、相当頑張ったということが言えます。結果が重大で、世論の関心も高いですし、院長先生は公判を通じて一貫して「クルマの不具合が原因、運転操作の誤りはなかった」と主張していますので「反省なし」という判断でしょう。そのため、遺族感情も悪い。

一方で、高齢なので、懲役刑そのものを免除されることが有ります。

そこで「禁錮」でしょう。作業をさせない禁錮なら高齢でも可能性がある、という判断ではないでしょうか?

 

裁判長が院長先生に執行猶予をつけようとすると、求刑を半額以上値引きしないといけなくなる。これはハードルが高いです。

日本の刑事裁判は、ほぼ検察の言い値で決まるので、(もちろん精密司法という理由はありますが)裁判長もどんどん値引きもできにくい構造になります。

あえて言えば無罪判決ですが、、、ないと思いますがねえ。

 

ただし、院長先生はすでに90歳。

どうせ有罪判決をもらっても控訴でしょうし、高齢なので保釈も簡単にされるはずなので、天寿を全うするんじゃないですかね。

 

先日も書きましたが、交通事故である限り、日本での人命の価値は驚くほど低いのです。剣呑なドライバーはそこらじゅうにいる。彼らが、人を殺めてしまった報いを受けることは、ほぼないんです。

大事な自分の命は、自衛するしかありません。

危険を感じたら、躊躇なく逃げること。

それが、現実だということなんですなあ。