世界がコロナ禍からの脱出を図っているわけであるが、ちょいと気になることがある。
それは為替レート。
ここのところ、円安基調が続いている。
産油国が石油の産出を抑制していることもあり、ガソリンスタンドによっては、リッター200円という価格も出てきたようである。
そこにコロナでさらに通貨発行を増やした。欧米もじゃんじゃんお札を刷っているので大丈夫という目論見だったのだが、そうはいかない。
なぜといって、コロナ禍が収まれば「通常営業」に戻るわけである。
まったく30年間成長してない日本の円が欧米に比べて安く見られるのは仕方がない。
アベノミクスで円安になり、そのぶん輸出企業は利益が増えた。
しかし、肝心のGDPは安倍さんが600兆円目標を打ち出したが、ドルベースでまったく増えていない。
つまり、日本企業はイノベーションも生産性をあげることもしなかった。
単に、円が安くなって労働者を今までよりも安く(ドルベースで)使えるようになったので、そのぶんの利益が増えたのである。
で、それをみんな内部留保にまわした。
だから、株価があがった。
労働者の賃金は上がっていない。
あがった株価をドルベースでひきなおすと、まったく増えていない。そのぶん円安になっているからだ。
つまり、アベノミクスは通貨価値を落としたぶんで(通貨価値を稼いだのは全国民である)株主に還元しただけの政策であったと思わざるを得ない。
そして、これから更に円安が進むと。
石油をはじめとした輸入品の価格があがる。
しかし、先に述べたように、そもそも生産性は上がっていないのだから、給料は上がらない。
コストプッシュインフレ、賃金が上がらず生活コストだけがあがるインフレである。
スタグフレーションともいう。
それは、今まで円を売って楽して稼いだツケである。
都合のよい経済理論を振り回しても、結局、カネは勝手に湧いてこないという事実に変わりない。国際市場では通用しないのである。
すでにアクセルを踏みまくっているところに急坂が現れる。
ムリにアクセルと踏み続けるとエンストする。
しかし、ギアを落とすとエンジンがブローして大変なことになるかもしれない。
日本経済にとって、コロナ後は試練になるかもしれないな、と思う。
かといって、今さらFXに手を出すのもなあ。。。そもそも、ゼロサムゲームは私の信条に反するしなあ。
預金を何割か、ドルに替えておくくらいだろうか。猫のへそくり程度しか、ありませんけどね(苦笑)