Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ささやく真実

「ささやく真実」ヘレン・マクロイ。

美女クローディアがある生化学者のところを訪れる。
この生化学者は、自白薬スコポラミンの誘導物質をつくることに成功して、試作品をつくっている。
その名を「真実の瞬間」といい、これを飲むと2時間から3時間、秘密にしていることをぺらぺらとしゃべってしまい、そのあと泥のように眠る、というものである。
クローディアはお騒がせパーティを開催するのが趣味で、生化学者をパーティに招待するために来訪したのだが、そのついでに「真実の瞬間」を一瓶、失敬してしまう。
そして、その夜にお騒がせパーティは開かれる。
出席者は生化学者のほか、クローディアの三番目の夫で自称小説家(まったく小説を1ページも書いていない)、クローディアが持っている株式会社の社長、クローディアの前夫とその前夫の妻。
なぜかパーティに出席したがる良家の10代のお嬢さん。
クローディアはパーティのカクテルに「真実の瞬間」を混ぜ、パーティは大暴露大会になってしまう。
そして、その深夜、たまたま近くを通りかかったベイジル・ウォリング博士は屋敷の中に不審な光を見つけて、火事ではないかと疑って近づいてみたところ、女性がネックレスで首をしめられて倒れていた。
博士の足音をきいた犯人は、屋敷の奥に逃げ込んでしまう。
暗闇で、顔はよく見えなかった。
博士は女性を救命しようとするが、すでに手遅れで、女性は絶命してしまう。
殺された女性はパーティの主催者、クローディアであった。
屋敷を出入りする様子は、近くの自動車修理工が夜なべ仕事をしながら見ており、ほかには誰もいないという。
つまり、パーティの出席者の中に、犯人がいることになる。
それはいったい誰か?
ベイジル博士は、一人ひとりから当日の話を聞き出し、ついにその犯人を指名する。。。


典型的なフーダニットのミステリである。
かなりフェアな書き方をしていて、丹念に読んでいれば犯人はわかるはず、、、というのであるが、これはやられた。
まったく、予想外でしたね。
なかなか楽しめたので、評価は☆。

このひとの著作は初読かと思ったら、過去に「幽霊の2/3」という作品を読んでいた。
タイトルオチなのですが、なかなか面白かった。
それで気がついたのですが、この作品もタイトルオチになっている。
全部読み終わって、タイトルを見直し「なるほどなあ」と感じいうわけである。
これが今から70年以上前の作品なんだから、まったく素晴らしいというほかない。
しかし、ほかの作品も探して読むか?と言われたら、そこまではないかなあ。
謎解きも面白いが、もうひとつ、心情的に共感できる要素が乏しいようにも思うんですな。
若い頃なら、ほかの作品も読んだと思いますが。
齢をくったせいで、ワガママになってきているんでしょうな。
普段の生活だけではなく、読書にもわがままな傾向が現れる。。。
抵抗するのは、やめておきます(苦笑)