Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

第四の扉

「第四の扉」ポール・アルテ

ぼちぼち年の瀬で、年賀状やら大掃除、愛猫の物資の買いだめ等やることが目白押しなわけですが、気ばかり焦って何もせず。(笑)
一応、気分を出してベートーヴェン「第九」を鳴らして、あとはついついミステリを読んでしまう(苦笑)

主人公ジェイムズの隣家のダーンリー邸では、数年前に婦人のいたましい自殺事件があった。主のダーンリー氏は妻の死を嘆くあまり、屋敷の惨劇のあった部屋に妻の幽霊が出ると信じるようになる。
その屋敷に、ふらりと現れた変わり者のラティマー夫婦に二階の部屋を貸すことになった。その夫妻の妻のほうに霊感があるという評判がたつ。
さて、ダーンリー邸では、誰も入れないように蝋で封印した部屋で降霊実験が行われることになった。ダーンリー氏のたっての願いで妻の霊を降霊させるためである。
ところが、その誰も入れないはずの室内で殺人事件が発生する。
腕利きの刑事が現れて、自殺と事件の両面から捜査が始まるが。。。


トリックは単純というか、わかってしまえば「なあんだあ」というもので、これがタイトル名にもなっているものである。
しかし、本書のトリックはそればかりではない。
実は、この小説は叙述トリックが仕掛けてあって、実は主人公であるはずのジェイムズは、、、がオチになっている。
携帯電話や細かな鑑識捜査が行われるとトリックが容易に破綻してしまうので、物語の設定はそれらの文明が出現する以前の英国に設定してある。

評価は☆。
読んでいる最中はさほど気にならないのだが、単純な問題として、本書の長さの割には登場人物が多く、しかも殺されたりとか、再登場とか(実は生きていた!超人ロックかよ)色々あるので、やや途中で混乱してしまった。
外国人の名前が色々出てくるのは翻訳ものでは当然なので、これが翻訳ものが慣れないと読みづらい原因なのだが、その登場人物が増えると私でもちょいと混乱する。
誰かが実験的にジョンを太郎、ホワイトを裕二、ヘンリーを光男という感じに日本名に入れ替えたら、おそらくリーダビリティは格段に増すでしょう。
ストーリーには別に影響がないので、どこかの出版社でやってくれんかな。
かの中共ではマルクスを「馬克思」という字をあてているので、支那人的には「馬さんちの克思さん」になっているのだが(笑)これはウマい手である。馬さんだけに(笑)

SF小説では舞台を惑星間飛行が可能な未来に設定したり、一方で時代小説では江戸時代に設定する。
ミステリも新本格派が出てきて、戦前とか60~70年代に設定することをやりだした。先に述べたように、トリックが使いやすいからである。
いっそ、まったく関係ない異次元に設定するとラノベになる(笑)
どうも、現代に設定するのは主流文学だけになってしまったような感じである。
それだけ、現代というのが想像で遊ぶにも不自由な世界になってきているということなのであろうなあ。
なにか問題発言をすると、たちまち炎上する世の中であるから、言いたいことも言えず、下手なことをいったコメンテーターはたちまち番組から降板させられるような世の中である。
好きなことを言いたかったら、もう小説にでもして、過去か未来か異次元に(笑)舞台を設定するしかないのかもしれない。
どんどん自由を追求した結果、ずいぶんと不自由な社会が到来したのは皮肉というものですなあ。