Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

汚名

「汚名」マイクル・コナリー

ロス市警を退職してサンフェルナンド市の薄給のボランティアとして刑事をしているボッシュは(日本でいう定年後の嘱託)ある薬局での二重殺人事件の捜査をすることになる。
薬局の防犯ビデオには事件の一部始終が記録されており、マスク姿の二人組が手を上げて降参の意思を示している父親の後頭部を撃ち、さらに奥に逃げる息子を三発打って殺した。
そのうちの1発は肛門を撃っており、強い怨恨が感じられた。
ボッシュと女性刑事のルルデスは捜査の過程で、この薬局が米国で問題となっているオピオイド中毒の処方をする薬局であることを知り、ボッシュの昔の相棒であるエドガーに出会う。
エドガーはロス市警を退職して不動産のセールスマンになっていたが、そこをやめて、今では薬物取締官になっていた。
エドガーの協力でボッシュ達はオピオイドの処方箋を乱発するクリニックを監視し、そこが殺人犯の男たちが出入りしていることを発見した。男たちは大型ヴァンに何人もの中毒者を載せてクリニックとぐるになっている薬局をまわり、それが済むと飛行場まで行き、飛行機でアジトに連れて行く。
アジトに中毒者を囲っておいて、再び連れ出しては薬局を回らせるのである。
殺された薬局の息子は、父親にオピオイドの処方をやめるように説得して、組織に恨まれて殺されたと推定された。
ボッシュは強い義憤を覚え、単に実行犯を逮捕するだけではなく、実行犯に指示をしたであろう組織のボスも捕まえようと考えて、自らオピオイド中毒者のふりをして潜入捜査を行うことを決意した。
正義の意思を持った若者が殺されてバカを見るような世の中にしてはならないという信念である。
一方、ボッシュはもう一つの難題を同時に抱えていた。
30年前に強姦殺人で死刑囚にした男が、無実の申立をしている。男の申立に基づいて、ボッシュの過去のパートナーだった女性刑事ルシア・ソトが保管してあった証拠の中からDNAの痕跡を持ち出し、検査すると、それは半年前に死亡した別の死刑囚のものだったことが判明したのである。
30年前にはDNA鑑定の技術はない。これは有力な新証拠と思われた。
しかしボッシュは、当時の捜査を思い出し、決め手となったヒトデ形のアクセサリーを発見したので、自分の捜査に間違いはなかったという確信を持っていた。
ボッシュは、この事態を異母兄弟のハラー弁護士に相談する。
ハラーは私立探偵のシスコに調査させると、証拠保全係の警官に多額の借金があって、破産寸前に陥っていることがわかった。
しかも、この警官の債務の延期交渉をした女性弁護士は、無実の申立をした死刑囚の弁護士の妻だったのである。
ボッシュは、この一連の訴えを企んだのは死刑囚本人ではなくて弁護士であるとの確信を強める。
この事件のやり直し裁判を抱えたまま、ボッシュオピオイド詐欺の潜入捜査を行ない、殺人事件の犯人たちと飛行機で対決し、彼らを葬り去った。
そして、やり直し裁判の日、ハラー弁護士はボッシュの汚名を雪ぐべく勝負に出る。。。


あいかわらずのボッシュシリーズである。
正月休みに読もうと思って「積ん読」しておいたのだが、やっぱり面白い。
今更だけど、やっぱり評価は☆☆☆。これは仕方がないのだ。
突如復活したオーディオ熱によって年末に手に入れたアンプとスピーカーで、お気に入りの音楽を聞きながら読んだ。
実は、ボッシュシリーズはこの続きも積ん読だったので、そっちも続けて読んでいる。
思い切り好きな音楽と好きな小説に囲まれての休日だったので、幸福感でいっぱいだった。
おかげで、かなり「充電」できたような気がする。
いつまで、こんな幸福な生活ができるのかわからないが、これを続けられるように今年も頑張っていこうと素直に考えた次第。
どうも、私の幸福とは、かなりささやかなものだったようですねえ。