「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ジョン・ル・カレ。
この前読んだ名作「寒い国から帰ってきたスパイ」にいたく感銘を受けたので、名作の評判も高い本書を読んでみようと思ったのである。
で、最初に白状する。
今回は、まったく書評にならない。
なんでかというと「さっぱり内容がわからなかった」からである。
最初の場面で、小学校に体の不自由な教師があらたに赴任してくる。生徒と仲良くなるが、そのうちに、この人物がたいへん魅力に富んでいるらしいこと、そしてなぜか、生徒にいろいろな情報を聞き出させることを始める。
そこから章が変わって、スマイリーという人物と他の人物との会話がはじまるのだが、、、
いつの時代の話かも示されず、何の目的で会話しているのかも不明なのである。
中には、相手がわからないままの会話もある。
ページのカギカッコはだいたい7割から8割にも及ぶので、そこは読み手が想像して補っていかねばならないのだが、さっぱりわからない。
残り100ページくらいになって、実はこれまでの会話が「もぐら」と呼ばれる二重スパイを探し出すためのものだったらしいことが示される。え?!そんな話だったの?
そして、表題の「ティンカー、ソルジャー、、、」がスパイのコードネームだということもわかる。だけど、そんな話あったかな?状態になっているのだ、こっちは。
狐につままれたような気分のなか、スパイがバレて何者かに殺されておしまい。
こっちは、どうも、壮大なおいてけぼりを食った気分である。本書の中では、私がまったく知らないところで物語が進んでいたのだ。。。
言うまでもないが、これは「挫折」に近い。正直に言うが、かつてドストエフスキーの「悪霊」を読んだときに、同じ状態になり、誰が誰となにの会話をしているのか、まったくわからずに挫折した。それ以来である。
内容がさっぱりアタマに入らないのだ。
で、たまらずwikiをみたら、なんと「あらすじ」が書いてあった。小説中では示されない時系列までちゃんと書いてある!
すごい、天才か?と思った。どうして、そんなことがわかるのか?おそるべき読解力である。
そんなわけで、私はこの小説の評価ができません。
まるっきり、わからない。
腹が立つので古本屋に売ってやろうかとも思うが、相当納得できないので、時間をかけて再読すべきかと悩んでいる。
死ぬ前にやるべきか否か。
この「スマイリー三部作」が欧米ではそこそこ売れて、読書家たちが時間をかけて読み解くらしい。
日本で「名作」だと褒めている書評がたくさんあるが、そのほとんどが「映画を見て内容は知っていた」そうだ。なんだか、回答を先にみてから問題集にあたるのと似ている気がしないでもない。
ま、こんなこともあるんですねえ。ううむ。