自分が何かやっていることと、外界の出来事が同期するように見えることを、シンクロニシティと呼ぶようである。
実は、私は今、作家船戸与一の遺作「満州国演義」全9巻をシコシコと読んでいるのであるが、これが実にすごい小説で、もうすぐ読み終わるのであるが、たぶん、死ぬまでにあと3回くらいは読みそうなくらいにすごい。
そのうち書評を書きますが、私が生涯に読んだ小説の中でベストテンに必ず入る。
よくぞ、これを完成させてから死んだ船戸与一こそ、まさに天が与え給うた作家である。
で、小説は、日本陸軍が謀略で満州国を建国してから滅ぶまでを描いているわけですが、これが現在のロシヤのウクライナ侵攻とそっくりなんですね。
まず、分離独立を目論む住民などを焚きつける。
そのうち、住民が騒ぎを起こす。当然に、他の住民と摩擦を起こす。事件が起こる。
で、それら住民の保護を名目に出兵、武力で支配してしまう。
あとはテキトーな傀儡政権を樹立し、実質支配してしまうわけである。
なんというか、シンクロニシティがすごくて、ちょっと小説の満州国演義とテレビのウクライナ関連ニュースがアタマの中で交錯するのである。
まあ、ロシヤのやっていることが、それぐらい現代的でないというか、第二次大戦当時のまんま、だということであろうなあ。
第二次大戦当時のまんま、といえば国連である。「United Nations」を「国連」と訳したのは外務省の姑息であるが、直訳すれば「連合国」である。
安保理の常任理事国5カ国は、まんま第二次大戦の戦勝国という仕組みである。
「勝ったほうが正義」という単純かつ実際的な判断で、その当時つくられた組織なのだと理解しているが、おそらく、プーチンも「勝てば官軍」だと思っているに相違ない。
それが苦戦しているので、とりあえず東部だけでも、という話になっているようである。
どさくさ紛れに自分のものにしてしまったクリミアが飛び地なのをつなげる狙いであろう。
思えば、あのクリミアへの無理やりな併合を認める「ミンスク合意」がロシヤの「謀略とゴリ押しで物事が通る」という確信を深めさせる結果となった。