アナログアンプに戻って、CDプレーヤのオペアンプを換えて遊んでいる。
「良い音」というのがソースの音を細大漏らさずに再現するという意味であれば、すでにフルデジタルアンプにCDプレーヤを光出力で直結するという結論が出ている。フルデジタルは、それ自体がゲインを持ったA/D変換なので、ソースに近くて当たり前である。
しかし、それでは「遊び」にならない。無駄がないからである。合理的ということは、遊びとは相性が悪い。アナログアンプは、潤色脚色の世界であり、無駄ばかり。それを楽しむ。
前回に「意外と悪くない」と使っていたNJM4580であるが、やっぱり高音域の寂しさが気になってしまう。中低音は意外にしっかりと鳴るのだが、高音が控えめすぎるのだ。上品といえば上品だし、よく聞けばすっと伸びているのだが、どうも不満である。
思い出せば、TL072の高音域は独特のさらっとした感触があり、思わず聞き入る深さもあった。しかし、低音域のバスドラの音が下がりきらない。
で、調べていると、どうやら音楽業界の方々の格言に「4558は5532に、TL072はLF412に換えろ」というものがあるらしい。
ne5532はたしかに良かった。高音がちょっと丸くなる以外は好みである。
ならば、そのLF412を使ってみようと思い立ったわけである。
ついでに、オペアンプにつながるライン回路のコンデンサも、すべて音質対策品に交換することにした。この手の作業は、第二種電気工事士の試験を受けて以来、まったく抵抗感がなくなった(笑)はんだごては使わない試験であるが、まあ、似たようなもの。
土曜日にアキバまで自転車で行き、パーツを入手。軽いサイクリング代わりである。
そのまま家に帰ってちょこちょこと作業する。
聞いてみると、なるほど、あのTL072の低音の軽さが解消される。高音域は、TL072と同じFET入力が利いているのか、独特の色がつく。
さらっとして、かつ、伸びる。
いつも一発目に聞くジャズのサキコロのシンバルがチンッ、と鳴る。ただ、なんとなく余計な音が出ているようでもある。
クラシックを鳴らしてみると、金管の音が耳に刺さらず、バイオリンの伸びがきれいに響く。
全体にのびのびとしているような気がするが、これがオペアンプのおかげなのか、コンデンサー交換が利いたのか?よくわからないが、たぶん両方であろう。
第一印象は悪くないので、しばらくこのまま付けて聴き込むことにした。
これでオペアンプ交換も3回めである。
最初はne5532で感激した。
そのあと、TL072、NJM2114、NJM4480と換えてみて、今回はLF412CN。
まあ、よく飽きないと我ながら感心する。
それでも、実は最近また聴力がさらに戻ったようで、調子の良いときはちゃんとステレオで音声が聞ける。
どうせ加齢して、またダメになるのに決まっているので、今のうちに遊んでおこうと思うのだなあ。