Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

孫文

孫文陳舜臣。上下巻。

 

船戸与一の「満州国演義」を読んでから、私の世界が満州になってしまい(笑)その余韻で読んだ。

汪兆銘やら宮崎滔天などは、孫文抜きには語れないのだ。満州国の世界とつながっている。

 

読んで思わず呆然としてしまった。私は、孫文については「中華民国を建国した人」くらいの認識だったのだが、それは間違っていない。しかし、そのために孫文が何をしたかというと「外国で講演会をして、金を集めて送っていた」だけだったのだ。

いや、もちろん武装蜂起に参加したこともあるにはあるのだが、まったく大したことにはならず、さっさと逃げ出している。

で、当然にお尋ね者になってしまうので、国にはいられず、日本や欧米、香港や東南アジアを転々とする。その行く先々で組織を作り、金を集めて送る。これだけ、である。

まあ、考えてみれば、何をするにも金が必要である。

そういう意味では、陳舜臣は本人が言う通り「中立」の立場で書いたのだろう。

小説的脚色を抜きにすれば、孫文中華民国クラウドファンディング(まあ、当時はクラウドはないので、代わりに講演会なのだが)で作った人ということなのだ。

 

評価は☆。

私のように、あまり知識がない人間にとっては「なるほど」である。

 

今、ウクライナがロシヤの暴虐に苦しんでおり、日本も他人事ではないというので、防衛力の強化あるいは核武装まで叫ばれている。

しかし、私は心配である。

憲法9条は別に心配していない。あんなものは、綺麗事を唱えるのが好きか嫌いかという趣味の問題である。

それより心配なのは金である。

孫文の言う通り、武装するのも金がかかる。そんな金をどう調達するのか?

日本の財政事情はご存知のとおりであり、とても余裕はなかろう。となると、また消費税の増税でもやらないとカネがないという話になるに決まっている。

すると、消費が落ち込み、不景気が継続する。

失われた30年の記録を更新、さあ40年いや半世紀へ、ということになる。亡国までやっていろという話になるだろう。

つまりは、どんなかっこいいことを言おうが、強面にすごんでみせようが、いさましく防衛をぶちあげようが、つまるところはカネではないか。

今、ウクライナにとどまって、世界からカネを集めて武器も集めているゼレンスキー大統領は大したものだと思うのである。

わが国の総理は、非常時にカネを集められるであろうか?

さて、どうだろうねえ。