埼玉県では、エスカレータの「立ち止まり義務条例」がはじめて施行されたそうだ。
快挙である。さすが埼玉、もうダサイタマとは言わせない。
あのエスカレータの片側空けは、関西と関東では違うようで、東京はなぜか左立ちの右空けで、大阪は反対である。ところが、京都では東京と同じらしい。なんじゃそりゃの話であるが、地方に行くたびに「ここは右か左か?」と考えることになるのだ。
で、あれは開けておいた反対側を急ぐ人が歩いていけるようにするためなのだが、本来、エスカレータを歩くのは危険なので禁止のはずである。
先日、駅でエスカレータに乗っていたら、突然停止。子供がボタンを押したのか?なにかあったらしい。幸い、誰も歩いている人が居なかったが、みんな「ガクッ」という衝撃で転ぶのを防ぐのに精一杯だった。歩いていたら間違いなく転倒事故である。
また、どこかの大学で実験したようだが、全員が2列に立って運ぶのと、片側歩行の人がいる場合とでは、全員が登り切る時間は「全員2列立ち」のほうが早いそうである。
「片側空け」は、実はあまり賢明な作戦ではないようなのだ。
何より、盲導犬を連れた視覚障害者などは困るし、身体の弱い人も片側立ちできない場合もあるはずだ。(片側麻痺など)
しかし、実際は私も駅で「左側立ち」をしている。周囲の冷たい視線が困るからである。
こういうのは、一度定着すると、なかなか難しい。
そこに埼玉県の条例施行である。
条例なれば、これはやむを得ないと思う人が多くなるのではないか。条例だって法律なのである。法律違反だということになれば、なんとか現状打破になるのではないだろうかと思う。
経済、ビジネスもそうですが、日本人は一度決まったことを変えるのが非常に苦手である。何かを定着させるまでは非常によい働きをするのだが、定着してしまうと、あとはさしたる理由がなくても、過去のやり方にすがってしまうのだ。
あの大東亜戦争でも、米軍に「日本軍は柔軟性に乏しく、一度決まった戦術を不利であっても繰り返す」と指摘されている。状況の変化に応じた応用力に乏しいとの批判であるが、戦後80年でも、やっぱり変わらない。変わらないから、30年間、世界の変化についていけなくて、長期低落「失われた30年」をやっている。米国の陰謀だという人は、日本のエスカレータを見よ。理由がわかるであろう。なんらメリットがなくても、いったん定着したやり方に執着する。ましてや、一度成功を収めた方法をや。
ま、その一方で、いったん「風向き」が変わると見るや、手のひらを返すのは早いのですがね。皇室問題がそうである。
ようするに、いの一番に「変革者」になるのはひどく不利な社会なのであろう。
ペナルティが怖い、失敗を許容しない社会という特質が根本にある。
まあ、エスカレータから、思わぬ日本民族の考察になってしまいましたが(苦笑)
日本全国で、埼玉に見習うべきだと思いますね。
こんな小さなところから、意外に改革が始まったりすることもあるんではないかと思ったりもするんですがねえ。