Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ゴルビー死す

ソ連の書記長、ゴルバチョフ氏が亡くなったようである。享年91歳。

世間的は大往生ということでしょうが、本人は最近のロシヤ情勢について怒っていたようである。台無しだ、と言っていたとのことですが、さもありなん。

 

この人は、ロシヤでは人気がない。ソ連崩壊後に経済的な大混乱の時期があり、市民生活は大打撃を受けましたので、当然かと思う。

しかしである。これをゴルビーのせいにするのは、ちと可愛そうだと思うのだ。

そもそも、それまでのソ連の計画経済というのが、どうしようもない代物だった。間違った方向にひたむきに突っ走っていたわけだ。

旅で言えば、思い切り道を間違えてさんざん走った挙げ句、間違っていたことに気づいて本来のルートに戻ろうとする。間違えて走ったぶん、ダメージは大きい。

間違えたのは、レーニンスターリンフルシチョフといった歴代の書記長連中であろう。ゴルビーは長きにわたる粉飾決算(ほんとうにソ連のGNPは粉飾しまくっていた)のすえに倒産する時になって登板させられた、敗戦処理党首というところではないか。

 

ソ連の経済の教訓は、再生産につながらないものをいくら生産しても、国力を疲弊させるばかりだということである。

たとえば、車両をつくるのに、トラックを作るか戦車をつくるかだ。

「なんでも構わないので財政出動して国内で金を回せば景気はよくなる」理論の信奉者は、どっちでも同じだという。

しかし実際には、トラックを作れば、作られたトラックは生産物を運び、運ばれた生産物は消費をたかめたり、次の生産を行うための材料になったりする。

一方、戦車は何も次に産まない。

国の税金を投入して戦車をつくりまくったソ連の経済はボロボロになった。だからゴルビーは実質的に国を破産させるほか、なくなったのである。

 

最近は、日本が失われた20年を過ごしていたというので、まずはお札を刷りまくれといい、実際にアベノミクスでお札を刷りまくって効果がなかったので、今度は財政出動が足りないと言い出す人々がいる。

しかし、ソ連の例は、財政出動で不要なもの(ダムとか農道空港とか誰も使わない漁港とか、、、)を作っても、国が疲弊するばかりだということを教えてくれる。

 

貴重な教訓を残してくれたと思うのだが、悲しいことに、人は喉元すぎれば忘れてしまうのだ。そうして、多くの悲劇や事故が歴史上、繰り返されてきた。

たぶん、これからもそうでしょうね。