Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

理想と現実のはざま

昨夜は知人と蕎麦屋で一杯。節分明けであり、旧正月祝いという名目である(笑)。

その知人は、経営していた会社を某上場企業に売却して、40代にして一生食うのに困らない財産を手に入れた。それでIT業界を引退し、長年の夢だったカフェを都内近郊の街に昨年オープンしたのである。

凝り性の彼が淹れるコーヒーと手作りのケーキは瞬く間に大評判になり、SNSでバズって、雨の日に客が表で行列をつくるほど(驚きの光景だと語っていた)になった。

のんびりカフェのマスターの予定であった彼は、押し寄せるお客の結果の激務に悲鳴をあげて、カフェなのに週休2日制にしてしまった。おかげで、多少は落ち着いたようだが、それでもワンオペでは厳しいそうだ。幸い、奥さんが理解がある人なので、繁忙タイムにはお手伝いに来てくれる。おかげで夫婦仲も回復、よかったよかった、なのだが。。。

 

ここからが本題なのである。最近、悩みが2つあるという。

第1に、店の儲けである。カフェのマスターは、朝から晩まで店にいて、ずっと働きづめである。長時間のハードワークなのだ。しかし、それにしては儲からない。これは業種の問題なのだ。

もちろん、経営者時代とは比べない。しかし、個人として考えても、彼クラスのエンジニアがIT業界ちょいと派遣で働けば、ひと月に2本。2本は、まさか20万ではありませんよ(苦笑)そりゃ底辺。その一つ上の桁である。実際に、カフェを開店するまで、暇つぶしに(!)そうやって働いていた。しかし、何しろ元経営者である。人の指示で働くのが嫌なのである。で、やっぱり念願通り、カフェのマスターになった。

しかしねえ。喫茶店で、一杯500円の珈琲をオニのように売っても、そりゃ儲からない。いや、新規開店のカフェなんか1年以内に8割は潰れるんだから、人気店になって多少でも利益の出る彼の店はすごいのだ。すごいけど、過去と比べちゃいけないねえ。

 

第2に、客商売特有の問題、すなわちモンスター客の存在である。ワンオペなので、ちょいとお待たせしてしまうこともある。そんなとき、モンスター客はいっさい店内の空気を読まずに、大声でクレームをつけるのだ。心中では「それなら来てくれなくて結構だよ」と思っているが、まさか客商売で、そんなことを言うわけにはいかない。「申し訳ございません」と平身低頭するしかないのである。

本人いわく、もともと儲からないのは覚悟の上であった。よって、第1の問題については、まあ仕方ないかと諦めもつく。しかし、かようにモンスター客が世の中に多いとは思わなんだ、と。

 

早期リタイヤして、あとはのんびりカフェの店主。理想の生活のひとつであろう。しかしながら、理想と現実は大違い。カネに困らないマスターは、ほとんど理不尽ともいえるモンスターたちのクレームに、ひたすら謝りつづけて心が削られるとぼやいている。

 

世の中、なかなか、うまい話はないもののようでありますなあ。。。