Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

無実

「無実」ジョン・コラピント。

今日は雨もあがり、いったんは自転車を出したのだが、そのとたん、霧雨のような雨が強くなった。たちまち、しっとりと濡れてくる有様なので、早々にあきらめて帰還。
音楽を聴きつつ、読書タイムとする。

ウルリクソンはかろうじて出版できる程度の売れないミステリ作家だった。それが、数年前に妻のポーリーンが脳卒中で倒れてしない、全身不随になってしまう。
寝たきりで、わずかにまばたきで意思を伝える程度である。しかし、頭脳は明瞭なようだ。まだ幼い娘のマディがいる。
ウルリクソンは妻の介護をしつつ、この自分たち一家のドキュメンタリーを執筆。すると、これが大ヒットし、たちまち有名人になった。
一方、デズは高校教師だったが、その教師になった動機も不純で、彼は中年になっても十代の少女にしか性欲を感じないという異常性欲者だった。
デズは、今まで見た中で最高の美少女クロエと出会い、何も知らない彼女をやすやすと篭絡してしまう。
しかし、当然ながら学校で問題になり、ある日突然教師を退職し、トレーラーハウスでクロエとともにその日暮らしを始める。
そんな中で、テレビのショーでウルリクソンを見る。聖人ぶった態度が気に食わないとデズは思うが、クロエが「この人は昔お母さんとつきあっていた人だ」という。
クロエの母はいわゆるビッチであったが、その遍歴の中に若き日のウルリクソンがおり、クロエを身ごもった日に近い。しかし、母はクロエの父はウルリクソンでなく、その後にすぐ付き合った人だと言っていた。
さて、この話を聞いたデズは、悪辣な計画を立てる。
弁護人を立てて、クロエからウルリクソンに実父確定の訴訟を起こさせたのである。
実父はDNA検査で確定するのだが、ここで検査日にまずデズは修理人になりすましてウルリクソン宅に入り、昼寝していたマディからDNAを採取した。
そのうえで、友人の検査技師に金を渡してクロエのDNAをすり替えさせたのである。
都合がよいことに、その検査技師はバイク事故で死んでしまい、すり替えの事実を知るものはデズとクロエだけになる。
しかし、このすり替えの光景を見ていたものがもうひとりいて、それは寝たきりのポーリーンであった。しかし、麻痺のため、彼女はこの事実を誰にも知らせることができない。
18歳になったばかりのクロエは、ウルリクソン家に腹違いの娘として入り込む。その上で、ウルリクソンを誘惑するのである。
ウルリクソンは、実の娘だと思っているので、そんなクロエをまだ精神的に幼くて異性に無警戒なのだろうと思う。
しかし、巧みなクロエの誘惑に、ついにある晩、理性が崩壊してしまうのだ。
その光景をクロエはノートPCのカメラで撮影していた。それを証拠として、クロエはウルリクソンをレイプで訴える。
米国の州法により、レイプと近親相姦の罪でウルリクソンは有罪となり、服役することになる。
クロエには、ウルリクソンからの生前の相続が認められ、大金持ちになる。
クロエとデズはマンハッタンに引っ越す。
やがて、長い年月を経てウルリクソンは出所。
何もかも失ったウルリクソンは、かつての思い出の品を整理することになった。すると、そこに当時の幼いマディのお絵描き帳があった。
そのお絵描き帳には、マディが「ABCの歌」を歌い、ポーリーンがまばたきすることで書き留めた短い文章が書いてあった。
「クロエのDNAはマディのもの」。。。


たいへん面白く、特に男性の性欲に関する辛辣な描写が印象的である。
評価は☆☆。
ウルリクソンの妻は寝たきりだから、ウルリクソンは当然に禁欲生活を送っている。しかし、彼はそれを別に苦痛とは感じていない。できるものだと思っていた。
一方、デズはそれを信じない。彼自身は少女にしか欲情しない変態なのだが、男は皆そんなものだと思っている。ウルリクソンだって、聖人づらをしていても、実際にその場面になれば耐えることは不可能だというのがデズの考えなのだ。
なにしろ、クロエはとびきりの美少女で、かつて若きウルリクソンが交際していた母に似ている。母も美人だったのである。ウルリクソンの好みに似ていないはずがない。
ウルリクソンは、当初は父親らしい愛情でクロエを迎えるのだが、やがて、だんだんと狂っていく。
実際には、クロエとウルリクソンは血がつながっていないわけなので、近親相姦ではなく、罪は「無実」なのだ。

男性は性欲が強いので、そのためにしばしばおかしな行動にでる。春先に、頭まで春の人が沸いてくるが、ほぼ男性である。
公立小学校を思い出してもらいたいが、男子生徒のほうがおかしなやつが明らかに多い。平均をみれば、女子のほうが優秀である。
理由はわかってきていて、遺伝的にいうと、頭脳の遺伝子はほとんどX染色体に乗る。女子はXXなので、両親からX染色体を受け継ぎ、優勢遺伝でそんなおかしいやつは出現しづらい。おかしいほうが優勢だと、人類が滅びてしまうからだ。
しかし、男児はXYである。Y染色体というやつはサイズが小さく、せいぜい筋肉ぐらいしか乗らない。よって、ほとんど母親由来のX染色体でオツムの出来が決まってしまう。
母親のXXのうち、優秀なほうをもらえばよいが、ダメなほうをもらうと女性と違って歯止めがないので、ばらつきは大きくなるのである。わかりやすくいえば、男児のデキは「博打」なのだ。
さて、それならば、男性としては見栄えよりも頭脳優秀な女性を伴侶にしたほうが、子孫繁栄のためには有利である。
しかし、現実は、金も力もある男性が、しばしば見かけだけは良くて、頭はちょっと、、、な女性を選ぶのだ。。。

結論。男は、バカである。。。