Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ダ・ビンチ・コード

ダ・ビンチ・コードダン・ブラウン

話題の作品。
ルーブル美術館で殺された人物が、あるキリスト教の秘密組織の長老メンバーで、彼の孫娘と主人公が共同でダイイングメッセージの解読に挑むという作品。
非常にテンポ良く、いといろな事件がおきるのだが、時間軸で見ると、被害者が殺されてからわずか1日の出来事を書いているわけで、快テンポなのはうなずける。
そういう意味では、最初から「映画のシナリオのような」小説である。

だいたい、英米人はストーリーテリングがうまい。こういうものを書かせたら、日本人は全く歯が立たないなぁ。
日本人は自然主義文学の影響か、はたまたそれ以前からある俳句の伝統などの影響もあるのか「見たままを生き生きと書く」描写力に重きをおいた作文教育をする。
英米では「面白い話をつくる」ことが重点であるから、そりゃ違いも生まれるわけである。
日本人のように、素晴らしい文章ならば通用するという前提がない。移民だったり階級差、地域差が大きいことを前提で出来た国家は違う。

ところで。
このダ・ビンチ・コードに書いてあるキリスト教の歴史は、かなり面白いものだ。ダ・ビンチの「最後の晩餐」の修復が出来たことが、一つのきっかけとなったのだろう。
この物語中で示される「仮説」自体、たいへん興味深い。

それにしても、仏教にしろキリスト教にしろ、あるいはイスラームにしろ、宗教における「女性」の地位が低いのはいかなる理由によるのであろうか?
たいがい、そう言うと仏僧も司教もイスラムも「いや、本当はそうではない」と言うんだけどね(笑)

私の仮説は、たぶん女性の方が男性よりも「死」に対して強いからだ、というものである。何しろ、新しい生命を産むのだから。それに比べると、男はいざとなるとよるべなく弱いのではないか、と。

評価は☆☆。
たいへん面白い、上質のミステリで、キリスト教学に対する興味も書き立てられる。申し分ない作品、、、ではあるんだけど。
イマイチと思うのは、ラスト近くの展開だよ。一緒に謎解き冒険すりゃ、男女はお互いに好意を抱くものなのか?いかにもとってつけたような、ハリウッド向きな展開がイヤだったのだな。
それさえなけりゃ、満点つけてもいいんだけど。