Single40'S diary

「40過ぎて独身で」の作者が、あっというまに50代を迎えたブログ

#読書

「流」東山彰良。 直木賞受賞作品である。主人公の葉秋生は17歳の大学受験を控えた台湾人だが、祖父は大陸で国民党の兵士であり蒋介石とともに逃げてきた。一家はにぎやかにたくましく台湾で生き抜いてきたのだが、祖父のしたたかさは今でも群を抜いている…

シューマンの指

「シューマンの指」奥泉光。 鼻炎レーザー治療を受けたあとで微熱が出た。体内に火傷があるのだから、当然の反応である。大人しく医者から処方された抗生物質とタイレノールを嚥んで横になっている週末となった。そうなると、もはや読書タイムである(笑)。…

方丈記

世情はなんとなく騒然としていると思う。 国内では安倍元総理が銃撃されて死去し、コロナは蔓延している。円安は生活必需品の値上げを招いているし、携帯網は事故を起こし、電力不足にあえいでいる。 海外に目を移せば、あいかわらずロシヤの暴虐はウクライ…

ブラッド・ブラザー

「ブラッド・ブラザー」ジャック・カーリィ。 帯には「ディーヴァー、コナリーに比肩」とある。おいおい、マジかよ!?そりゃとんでもねえことだ!と思って読み始めた。 ニューヨークで女性をターゲットにした連続殺人事件が起こる。田舎警察の刑事、ライダ…

パーフェクト・ライフ

「パーフェクト・ライフ」マイク・スチュアート。 精神科の研修医(まだ大学在籍中なので)のスコットは、病院からの帰路、ヒッチハイクの2人組の若者を乗せてやったところ、突然彼らが強盗に豹変。スコットは自動車をとられてしまったが、偶然そこに通りが…

亜米利加ニモ負ケズ

「亜米利加ニモ負ケズ」アーサー・ビナード。 私は英語が苦手である。よく言われるが「日本人は6年間も英語を習うのに道案内もできない」まさにそうである。実は、私は受験英語を得点源にしていた。理由は簡単であって、そこそこの単語力を持っていたからだ…

前夜 奥右筆外伝

「前夜 奥右筆外伝」上田秀人。 上田秀人の「奥右筆秘帖」シリーズは抜群に面白くて、新刊がでるたびに貪るように買って読んだものである。 普通の時代劇ファンでもなかなか知らない人も多いであろう「奥右筆」という幕府の官僚を中心に据えて、渦巻く陰謀と…

11月に去りし者

「11月に去りし者」ルー・バーニー。 1963年のニューオリンズ。主人公のギドリーは地元のギャングの中では売出し中の若手幹部だった。ある日、事件が起こるから逃走用の車を準備するようにボスから言われて、そのとおりに一台の車を手配した。その仕事…

鬼火

「鬼火」マイクル・コナリー。 ボッシュとバラードのシリーズ。こうなったら、死ぬまで読んでやる。作者と私の長生き競争だもん(笑)。 冒頭、ボッシュ元刑事は先輩刑事の葬儀に出席。そこで未亡人から未解決事件の調書をあずかる。亡くなった先輩刑事がこ…

漂流

「漂流」吉村昭。 ふとしたきっかけでAmazon PrimeVIDEOで「ALONE孤独のサバイバー」というコンテンツを見たら、あまりにも面白い。これはテレビ番組の企画のようで、無人島に10名の挑戦者が10種類の道具だけを持って上陸させられ、そこでサバイバルする。途…

埋葬された夏

「埋葬された夏」キャシー・アンズワース。 舞台は英国の北海に近い田舎町。この物語は、1983年から1984年にかけての事件が起こった時期の記述、そして2003年の事件の再捜査の記述が交互に書かれている。現代の再捜査によって、過去の物語が少し…

悪魔の爪痕

「悪魔の爪痕」霧村悠康。 ある産婦人科医で、分娩を済ませたばかりの若い母親が乳がんで死亡してしまう。 しかし、乳がんは入院時の検査ではひっかからないほど早期であったはずで、早産の危険をさけるために使われた薬の副作用が疑われた。 そこで製薬会社…

摘出ー黒いカルテ

「摘出ー黒いカルテ」霧村悠康。 研修医の本木は、乳がん患者の左右の乳房を取り違えて、正常な乳房に切開のマーキングをしてしまう。指導医もそれに気が付かず、教授の高橋もそのまま執刀してしまう。 手術中にミスに気がついたが、もうどうにもならない。…

新陰流 小笠原長治

「新陰流 小笠原長治」津本陽。 一昨日、病院の家族控室で読んだ本。ま、肩のこらない歴史モノで。 小笠原長治は戦国時代から江戸初期にかけての剣豪である。真新陰流の創始者なのだが、一般人は柳生家の「柳生新陰流」のほうが有名。将軍家指南だし、五味康…

ラスト・ウィンター・マーダー

「ラスト・ウィンター・マーダー」バリー・ライガ。 読み出してから気がついたのだが、この小説は「さよならシリアルキラー」シリーズ3分冊のラストに当たる。私は、分冊の1、2をすっ飛ばして、いきなり完結を読んでしまったのだ。まあ、こんなのは「ある…

孫文

「孫文」陳舜臣。上下巻。 船戸与一の「満州国演義」を読んでから、私の世界が満州になってしまい(笑)その余韻で読んだ。 汪兆銘やら宮崎滔天などは、孫文抜きには語れないのだ。満州国の世界とつながっている。 読んで思わず呆然としてしまった。私は、孫…

比ぶものなき

「比ぶものなき」馳星周。 馳星周といえば「不夜城」シリーズ、つまりは新宿のアウトロー物語が看板だと思うのだが、なんと時代小説である。主人公に据えたのは藤原不比等である。 不比等は藤原鎌足の子供であるから、大化の改新を成し遂げた中大兄皇子の寵…

満州国演義 (全9冊)

「満州国演義」全9冊。 船戸与一。 不世出の大作家、船戸与一の遺作にして大作である。私は文庫で読んだが、全9冊。400字詰め原稿用紙換算で7000枚を超える。しかし、ゆっくりゆっくりとこの9冊を読み終えた今、「読んでよかった」という思いと「…

盤上の夜

「盤上の夜」宮内悠介。 2010年のSF大賞を受賞した短編を収録した短編集である。いずれも囲碁や将棋、麻雀、チェッカーといったボードゲームを素材にした連作短編である。前回「ティンカー、テイラー、、、」で挫折して苦しい思いを味わったので、まず間違い…

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ

「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ジョン・ル・カレ。 この前読んだ名作「寒い国から帰ってきたスパイ」にいたく感銘を受けたので、名作の評判も高い本書を読んでみようと思ったのである。 で、最初に白状する。 今回は、まったく書評にならない…

西村賢太氏、早世す

西村賢太氏の訃報が本日、発表された。享年54歳の死は、昨今では早すぎる。夭折に近いと思う。 「苦役列車」は読んだ。あまりにも直截的な文章に唖然とし、賢多の露悪趣味ともいえる自己中心的な述懐に苦笑した。 だけど、なるほど、これは私小説である、自…

忍びたちの本能寺

「忍びたちの本能寺」近衛龍春。 この人の本は前に読んだ「九十二歳の関ヶ原」がたいへん面白かったので、期待して読んでみる。 主人公は忍者の多羅尾一族の妾腹の次男、伊兵衛である。織田信長の次男、信孝に仕えている。信孝は明智光秀の本能寺の変と、そ…

弁護士アイゼンベルク 突破口

「弁護士アイゼンベルク 突破口」アンドレアス・フェーア。 物語の冒頭、女性テレビプロデューサーのユーディットは出張先のホテルのバーで隣に座ったちょっとイケメンの男と話がはずむ。ユーディットはワンナイトラブの予感さえ抱くのだが、さらに同じバー…

弁護士アイゼンベルク

「弁護士アイゼンベルク」アンドレアス・フェーア。 女性刑事弁護士のアイゼンベルクは、夫と共同事務所を経営していた。夫は民事、アイゼンベルクは刑事を手掛ける。ところが夫は若い女に浮気したので離婚することになった。しかし、共同事務所を解散するの…

素晴らしき世界

「素晴らしき世界」マイクル・コナリー。 連休だったので、すかさずコナリーを読む。何しろ、外は極寒である。自転車に乗る気も削がれてしまうのだ。そうなると、お気に入りのCDをかけるかFMを聴くかしながら、好きな小説を読むという自堕落を決め込むことに…

汚名

「汚名」マイクル・コナリー。 ロス市警を退職してサンフェルナンド市の薄給のボランティアとして刑事をしているボッシュは(日本でいう定年後の嘱託)ある薬局での二重殺人事件の捜査をすることになる。薬局の防犯ビデオには事件の一部始終が記録されており…

べんけい飛脚

「べんけい飛脚」山本一力。 年末に、ぎっくり腰の再発をせぬよう、ゆっくりと大掃除しながら読んだ。 これが2021年の読書納めの一冊となった。 本書は2部構成となっており、第一部は売れない戯作者、雪之丞が加賀前田家の専属の飛脚、浅野屋に依頼されて前…

秀吉の能楽師

「秀吉の能楽師」奥山景布子。 山崎の神人、暮松新九郎は遊女宿の女主人をしている母から「秀吉のもとに行き、秀吉を能に没頭させろ」との命令を受ける。新九郎はさっそく朝鮮出兵中の名護屋に行く。秀吉は長い滞陣で飽きが来ており、新九郎の思惑どおり、今…

脳には妙なクセがある

「脳には妙なクセがある」池谷裕二。 私は脳科学というのは胡散臭い疑似科学ではないか、と思っている。だって、テレビで時折拝見する「脳科学者」なる人物たち、揃って胡散臭いのであるから致し方ない。そもそも、大学で脳科学部とか脳科学科なる学部も聞い…

IQ

「IQ」ジョー・イデ。 アフリカ系アメリカ人のアイゼイア・クインターベイはそのイニシャルをとって「IQ」と周囲の人に呼ばれている。ミスターIQというわけだ。彼は、ひどく頭脳が優秀なので有名なのである。 IQには、かつてマーカスという、とても優秀な兄…