Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

世界Aの報告書

「世界Aの報告書」ブライアン・W・オールディス。オールディスといえば「地球の長い午後」があまりにも有名である。奇妙な生物達の織りなす世界を、まるで眼前にあるかのようにありありと描写してしまった。本作は、そのオールディスの若書きの作品である。…

鳥の歌いまは絶え

「鳥の歌いまは絶え」ケイト・ウィルヘルム。サンリオSF文庫、絶版。近未来が舞台である。地球上の生物は、主に核汚染のために滅びようとしている。人間は、徐々に生殖能力を失い、子どもができなくなる。そこで「谷」と呼ばれる豊かな渓谷の一族が、財力…

方舟

「方舟」しりあがり寿。この奇才漫画家が、ミレニアムの年に渾身の力をこめて問うた一作。偶然、古本屋で発見し読んだのであるが、これはすごい。舞台は今の日本。いや、世界。雨が降り続き、一向にやまない。テレビは、おちゃらけバラエティで「洪水で水泳…

迷妄の中に

今までも、何度もそうであったけど、未だに仕事ということでは迷妄の中にいる。かつて、30代のはじめから奉職したベンチャー企業は、遮二無二成長を目指す社長に引っ張られ、私なども微力を尽くして株式公開した。もっとも「公開すれば、たいがいの問題は…

デイトレ民主主義

選挙のたびに「有権者も考えなくてはいけない」という調子の論調が目に付きます。ひどいのになると「ねじれ回避のために、政権与党へ投票しろ」みたいな話まで。おいおい、それって自民党時代の万年野党万歳思想と変わらんではないの?とか、同じ事を自民党…

リンカーン弁護士

「リンカーン弁護士」マイクル・コナリー。主人公は刑事弁護士ハラー。ご存じのとおり、アメリカは訴訟社会だが、訴訟がおおいぶん弁護士も多い。競争社会である。よく救急車の後に弁護士の車がくっついてくる、と言われるが、それは誇張でもないらしい。本…

衆愚はない

今回の選挙で、ふたたび「ねじれ」を選択した我が国の国民ですが、「国民も、マスメディアに乗せられているだけだ。情けない。そもそも投票率が低い。国民は、それにふさわしい政治家しか持てない」という批判があります。私は、このような意見を「民主主義…

ねじれ再現

またまたねじれてしまいましたね(苦笑)日本政治の迷走ぶりの表現だとは思いますが、鳩山さんの就任以来の民主党政権の迷走を思えば、ある意味で妥当な結果かもしれませんなあ。ま、今や政権党の民主党が「直近の民意に従って解散しろ」という、かつての自…

カインの市

「カインの市」ケイト・ウィルヘルム。サンリオSF文庫で絶版のまま。日本のSFファンでも、ウィルヘルムの名前を知っている人は少ないのではないかと思う。日本におけるSFは、世界の中では特異な発展過程をたどっており、50年代~60年代の作品の影響が大きい…

菊と刀

「菊と刀」ルース・ベネディクト。日本文化と欧米の文化を「恥の文化」と「罪の文化」と対比してみせた本書は、日本人論として不朽の価値を誇っている。本書が、アメリカの占領政策のため生まれたという過程を考えるにつけ、本書自体が「気分でなく、綿密な…