Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

月ノ浦惣庄公事置書

「月ノ浦惣庄公事置書」岩井三四二。松本清張賞を受賞した歴史文学である。あとがきに「法廷ミステリ」との表現もあったが、本書は法廷ミステリではない。きわめて良質な歴史小説である。舞台は室町時代である。土倉(金融屋)の手代、源左衛門は借金のカタ…

向かい合う

本来ならば、もっと喜び、大騒ぎになってもよいはずである。何がといえば、内閣府の発表によって、12年1-3月期の実質国内総生産(GDP)が前期比+1.0%。さらに、名目成長率が+1.01%で(13四半期ぶり)数字上では「デフレに歯止めがかかった」からである…

蒼龍

「蒼龍」山本一力。著者のデビュー作品、オール読物新人賞受賞の「蒼龍」が収められた短編集。いずれも、素晴らしく水準の高い作品ぞろいで、はずれがない。なかでも、読後に印象に残るのは、表題作の「蒼龍」で、決してうまいとは思わないけど、著者の迫力…

現代デフレの経済学

「現代デフレの経済学」斉藤精一郎。初版は1998年だから、今からすでに10年以上前になる。で、日本政府は2009年にようやく「デフレ宣言」をした。なんのことはなく、つまりはバブル崩壊以後「失われた20年」となり、えんえんとデフレ不況に落ち込んでいるわ…

ザビエルとその弟子

「ザビエルとその弟子」加賀乙彦。日本に初めてキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの晩年を描いた小説である。ザビエルはマラッカにおり、当時、外国人の入国を禁じていた支那への布教を企図していた。もちろん、殉教覚悟である。ザビエルは、たいへ…

デフォルト

「デフォルト」相場英雄。六本木のバーの飲み仲間のエコノミストが、不良債権処理にかかる地銀の破たん処理について、日銀と政治家の不正な裏取引をリポートしたことがきっかけになり、左遷、退職させられる。そのエコノミストは自殺。仲間が、その仇をうつ…

パリでメシを食う。

「パリでメシを食う。」川内有緒。たいへん面白いドキュメンタリーである。本書の「メシを食う」は、別にグルメごっこをするわけではなくて、いわゆる「職業につく=メシを食う」ことを指している。つまり、パリに行って、現地で職業を得ている人たちの話で…

憚りながら

「憚りながら」後藤忠政。あの山口組系で「経済ヤクザ」「武闘派」として鳴らした後藤組の組長、後藤忠政氏の回想録である。もちろん、いろいろと、墓場にもっていかなくてはいけない話も多いわけである。後藤氏としては、今の時点で、話せることだけを話し…