Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

月まで三キロ

「月まで三キロ」伊予原新。

 

最近、人気があるらしい。ふと気になって読んでみる。短編集というのも、読みやすくていい。

 

表題作の男は、静岡のうなぎの名店に入ってうなぎを食おうとするが、食えない。かつては好物だったのだ。

勘定だけを済ませて、個人タクシーを拾う。富士までいってくれという。

その場所を聞き、運転手は、参ったなあという。その場所は、有名な樹海だからだ。男は広告代理店として独立開業し、あっという間に行き詰り、妻には離婚され、母を亡くし、父は認知症になり、人生に行き詰って最後の選択をしようとしていた。

運転手は、そこには行けないが、自分がこれから行こうと思っている場所に一緒に行かないか、と誘う。男は承知する。

その場所は「月まで三キロ」の場所だった。実際には、月と地球の距離は38万キロなのだが。そこで、運転手は、思いもよらない身の上話を始めるのだった。。。

 

男の身の上は、珍しくもない話だ。そして、運転手の話も、珍しくもない話だ。この世では、不幸なんて日常にあふれている。ちょっとしたきっかけがあれば、人は簡単に転落する。転落すると、滅多に這い上がれないようになっている。この残酷な世界で、どうやって生きていけばいいか。あるいは、死んでいけばいいか。

そんな話だ。もちろん、そりゃ結論はわからないし、画期的な対策もない。ただ、話を聞くことだけはできる。それだけなんだろうと思う。でも、聞くことで、少し、気持ちが救われることだってある。

 

そんな日常の情景を切り取った短編集だ。

ドラマはない。いや、あるんだけど、それはよくある話に過ぎない。日常のドラマ、といえばいいか。

転落した中年男。行き遅れの中年女。恵まれているとはいいがたい。しかし、不幸だけでもない。だいたい、世に不幸はありふれている。

 

評価は☆☆。

ふーむ。

なんというか、純文学の短編小説よりは、15分ドラマのシナリオのようだ。

かつて読んだニューヨーカー短編集の舞台を日本に変えて、ローカライズしたみたいだ。だから、すごい画期的じゃない。ある意味でベタなのだ。

だけど、ベタでもいいのかなと思う。そのぐらい、不幸は世の中にあふれているんだから、ベタでいいということなんだろう。

 

ちょっと読んでいるとわかるが、著者は理工系の人だ。理工系の人が描いたエンタメ短編小説。そういうのも、あってもいいんだと思います。

 

デス・コレクターズ

「デス・コレクターズ」ジャック・カーリイ。

 

本日は午前中いっぱい、さぼりまくっていた菜園の草取りに精を出す。梅雨の時期になり、土が柔らかいのではかどる。しつこいイネ科の雑草を、草取りハサミをつかって根の直上の生長点をカットしていく。根っこごと引っこ抜くと、土の上に新たな雑草の種がばらまかれて発芽してしまう。しかし、単に葉をカットするだけだと、あっという間に新たな葉っぱが生い茂るのである。いろいろ調べたが、生長点カットが有望そうだし、何よりもやりやすいのでやってみたわけだ。さて。どうなるか。

 

午後は、草取りハサミのマメができたので農作業を終了し、読書。

 

タイトルの「デス・コレクターズ」というのは、シリアルキラーの連中による「記念品

」を収集する連中のことである。切り裂きジャックが使ったナイフ、とかである。

そんなものを集める奴らがいるのか?と驚くが、どうやら、実在するらしい。しかも、かなりの富裕層のなかに、ひそかにそんな趣味を持っている連中がいるようだ。

 

物語の冒頭で、裁判の公判中に、連続殺人鬼のヘクスキャンプが殺害される。裁判の傍聴に来ていた女が、突然ピストルを出し、ヘクスキャンプを撃った。女はずっと泣いていたので「泣く女」と呼ばれていた。おそらく、遺族の親族だろうというので、誰も声をかけずにそっとしていたのだった。ヘクスキャンプを撃った後、女は自殺した。

 

それから10年が経過した。ある夜、モーテルで身元不明の女が殺害される。女は日常、オレンジを好んで買っていたことから「オレンジレディ」と呼ばれた。

ライダー刑事とノーチラス刑事のコンビが事件の捜査にあたるが、まったく手がかりがない。唯一「アートに気をつけろ」という電話があった。実は殺人現場に、絵画の切れ端と思われる布片が落ちていた。ほかに手がかりもないので、ライダー刑事が電話の主に会いに行くと、その人物はかつてヘクスキャンプの事件を捜査した元刑事のウィロウだった。ウィロウは、ヘクスキャンプが復活を予言したことを伝える。

本気にするはずもない言葉だったが、次に修道女が殺される。事件は連続殺人となってしまった。しかも、またも絵画の切れ端があった。

ライダー刑事は、昔のヘクスキャンプ事件を調べると、彼は自称「天才画家」であることがわかった。実際にフランスに留学したこともある。そして、彼が殺人を犯すたびに絵をかいており、その絵が「デス・コレクターズ」の間で高価で取引されていることを知る。殺人は犯罪だが、事件の裁判が終わった後、証拠品がうりだされることはしばしばあり、それらを売買するのは違法ではない。ただし、購入者たちは、その趣味がばれるのをきらって、秘密で取引をしている。

それらの売買で有名な弁護士をたどると、なんと、その弁護士はあのヘクスキャンプを弁護した弁護士だったのだ。弁護士なら、ヘクスキャンプの「未発見作品」を持っていてもおかしくない。しかし、弁護士も容易には秘密を打ち明けるわけもない。

そこで、ライダー刑事は、精神病棟に入院している兄を訪ねる。兄の伝手で、別の連続殺人犯の「記念品」を手に入れたライダー刑事は、その商品をもとに、おとり捜査をしかける。

ヘクスキャンプの「未発見作品」はどこにあるのか?それを、いま誰が持っているのか?

物語の週末で、すべての秘密が暴露される。。。

 

風変わりな世界を舞台に、よく練られたストーリーだ。話の筋を追うだけで、充分に面白い。

評価は☆☆。

 

アメリカというのは不幸な国で、ほとんど数年おきに連続殺人鬼(シリアルキラー)が発生する。発生するというよりは、悪事が露見するわけだが。

あの「羊たちの沈黙」があれほどヒットした背景には、実は「ちょくちょく起こる出来事」が背景になっているから、なのである。ハンニバル・レクターがイカレテイルのは確かだが、それだけじゃあないのだ。

世の中、どんなものでも収集家というのはいるので、こんな犯罪の記念品でも買い手はいるのだが、問題は、その買い手が非常に富裕な人たちの一部であることだ。

お金持ちは、どこかおかしいのだ。。。

いや、そうじゃないな。

人間は、どこか、おかしいのだ。本人は気が付かないだけなのだな、、、そんなことを思った。

 

迂回路を迂回してしまい、うっかり100キロ走る

昨日は自転車日和。夏みたいに暑くもなく穏やかな風で、さっそく自転車をこぎ出す。

千葉の花見川CRを目指した。6月になると、花見川沿いのアジサイが咲く。去年、慣れない派遣エンジニアの仕事で消耗していたとき、ここのアジサイの風景に癒されて、気力をもらったものだ。あの風景を今年も見よう。

 

花見川CRにたどり着くと、予想通りである。あちこちに、見事なアジサイが咲いている。

花見川CRのアジサイ 2026年6月

ウキウキしながら花見川CRを北上していたら、花島公園のあたりで通行止めである。この先、工事中らしい。迂回路、と書いた立て看板がある。その地図を見て驚いた。楔形象形文字の親戚のようなブツが、そこに書いてあった。

普通の地図というものは、途中の目印とか、交差点とか、目的地とか、書いていると思う(当然だ)。しかし、この地図には何もない。単に、線がのたくっているだけである。まあ、しかし、一本外側の道を行け、だろう。素直に走り出した。が、途中で分岐点がある。どっちなのか、わからない。まあ、花見川から離れないほうでいいんだろう、、、で走る。そのうち、粕井橋に着いた。ここからCRに復帰、、、と思ったら、違った。ここも工事中。どうやら、先らしいな、、、で再び川沿いの道(と思っている)ほうを走り出した。あれあれ、、、道がうねっている、、、そのうえ、いくつもの道と交差して、たぶんこっちか、、、、と思って走ったら、そのうち「サイクリングロード迂回路」と書いた看板一枚が立っている。その指示通りに走っていたら、粕井橋に着いた、、、迂回路を走っていたら、どうも迂回路自体を迂回したらしく、ぐるっと回ってもとの位置、、、だったのである。

これは、千葉県仕様の標識なのである。交通事情の悪い千葉は、他の地域から人が来ることは想定してない。地元民だけが理解できればよいのである。楔形象形文字を理解できるのは地元民なのである。都内からのこのこ自転車でくるやつは、遭難して当然なのだ。おかげで、千葉方面には人が少ないので、私にとっては良いのだが。。。

諦めて、スマホのGPSを頼りに、花見川CRの終点の弁天橋を目指す。着いたら、花島公園から弁天橋まで、45分もかかっていた(笑)新記録である。

そこから新川に入り、やちよ道の駅に着いたが、ここからさらに神崎川ルートに入るのに、迷った分をショートカットすることを考えた。走ったことはないが、秀明大学のグランドあたりまで抜けるのが手っ取り早い。

国道16号の下をくぐる小さなトンネルをくぐって、小高い丘の中の細い農道を上がっていたら、、、、ギャー!道の真ん中に、長いヤツが寝てのたくっている。農道は人通りが少ない分、他の動物が利用することがある。それが雉だと、かわいいが、足のないヤツは私はダメである。ひいひい言いながら走ったら、いつの間にやらちゃんと大学グラウンドまで出ており、そこからいつもの神崎川ルート。

途中の七次台団地から再び国道16号をくぐって藤ヶ谷に入り、手賀沼農免農道を走って農家で地玉子を買った。途中で、今度は本当に農道を歩くオスの雉を見た。美しく、かわいい。独特の鳴き声もいい。こうでなくちゃ。

帰りは柏の逆井、五香と経由して市川から都内に戻った。距離ジャスト100キロだった。

 

思わぬアクシデントの結果だったが、見知らぬ道をうろうろしながら100キロ走れたのは悪くない結末だった。

あのひどい迂回路だが、次も、また走ってみたいと思った。

ただし、足のないヤツには、もう会いたくないんだけどなあ(苦笑)