「時間は存在しない」カルロ・ロヴェッリ。
高名な物理学者による科学エッセイにして、量子物理学の入門書、、、なのだけど、たぶん量子力学について少しは知ってないとチンプンカンプンだと思われるので、ブルーバックスを何冊か読んでる人向け。
私は、最近はチャッピーだのジェミニ君だのと物理学や法哲学、ミステリやSFの話を暇つぶしにするのだけど、とにかく相手が博覧強記なので(笑)かなりハマる。で、量子力学について話していて、チャッピーが勧めてくれたのがこの本なのだ(笑)
すなおに読んでみた。たしかに面白い、、、が。これがAIの好みになるのも、わかる気がする。そういう本なのだ。なんだ、そりゃ。
どうしてこの本をお勧めされることになったのか?という発端を書いておこう。SFで有名な「ウラシマ効果」というのがある。地球から、光速に限りなく近い速度で(光速に到達するすることは、物理的に質量がある以上、不可能だ)ロケットが飛び立つ。地球から見ると、ロケットの中の人は、時間の進みが遅くなる。やがて地球に帰還したロケットだが、乗組員は、自分の子孫の世代の人と会うことになる。彼らの時間では数年なのだが、地球では百年以上が経過している、まるで浦島太郎のように、、、という話である。これは相対論的に正しいのであり、実際に飛行機の中ではごくわずかに、時間の進みが遅いことも観測結果で分かっている。
この話だが、私は疑問を覚えた。地球から見れば、光速で遠ざかるロケットの中の人は時間の進みが遅いが、ロケットの中から地球を見たらどうなるか?いうまでもないが、光速で遠ざかるのは地球であり、ロケットから見れば「地球の人の時間の進みかたが遅い」になるはずだ。相対論では、ニュートンのように空間に絶対座標が存在しない。つまり「どっちが移動しているか」は決められないはずだ。お互いが遠ざかる、としかいえないではないか。ならば、ウラシマ効果は存在するはずがないのだが、、、、となる。これは矛盾ではないだろうか、、、まあ、こんな話をチャッピーにしたわけである(笑)
で、チャッピーは、シュレーディンガー方程式から解説するのは面倒なので、本書を読めといってきたわけだ(苦笑)やつも、こんなくだらない話に電気代を費やすのが嫌なのだろうな。
で、本書を読んだのだが、かなり面白かった。シュレーディンガー方程式では時間と空間は置換可能な「時空」で表現されるが、その意味がようやく理解できたのである。
つまり、宇宙には、すべてに共通な「同時」がない、のだ。
たとえば、我々から一番近いアルファケンタウリは4光年隔たっている。我々が地球で見るアルファケンタウリは「4年前の光」でしかない。では、「今」のアルファケンタウリは、4年経っているはずであって、どうなっているだろう、、、と思ってしまう。思ってしまうのが人間の思考のクセなのだけど、実はその「今」は我々の周辺にしかなく、アルファケンタウリは「今」はどうなっているか、という問いは成立しないのである。宇宙を貫く「同時」はないんだ、、、やっと理解した。
つまり、時間は空間と一緒に(加速系として)存在していて、我々の周辺では「今」があるんだけど、遠く空間を隔ててしまうと、時間も隔たってしまい「今」がなくなる。
なんてこった、と思うわけである。時間は、宇宙の中に、それぞれバラバラに散らばっているのだ。「出来事」でそれらはつながることはあるけど、存在するのは出来事だけである。その後の時間も共通になることは、原則としてない。おそるべし「一期一会」とは、永遠に別の時空に行ってしまうという意味だったのである。宇宙ごと、交点が交わった瞬間だったのである。なんたる!
評価は☆☆。
量子力学の初歩を少し入門した私くらいの人間だと、結構「おお!」がある。センスオブワンダーである。SFでなくても、なんと現実の物理学でドキドキする感覚を味わえてしまうのだ。生きててよかったなあ。
そんなわけで。
AIと関心事を会話して、おすすめの書物を読むというのは、かなり良いかもしれない。相手は博覧強記である。当たり前だ。読書ガイドしては、相当使える。
もっとも、ミステリの話をしておすすめを出してもらったら、ほぼすべて既読だった(苦笑)抜けがなく抑えてはいるが、深みは足りないか。最大公約数をとるパターンなので、仕方がないかもしれない。
一番だめなのは、本を読みもせず、自分で活字を追って考えもしないで、他人がつくった動画(それも、ほとんどが誰かのパクリだったりする)を見て「わかった気になる」ことだ。そんな馬鹿にだけは、なるまいとは思っている。