Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

照柿

「照柿」高村薫

濃厚とんこつスープに背脂ちゃっちゃ系小説。もちろん、ラーメン小説ではありません。

主人公野田は、高校を出て17年間、まじめに地元の工場で金属加工(高周波焼き入れ)の仕事をしている。ある日、昔、結婚前につきあった女、美保子とばったり再会。美保子は結婚生活にいきづまり、ダンナをナイフで刺した疑いで警察に追われることになる。やけぼっくいに火がついて、美保子を野田はかくまう。
一方、野田と幼なじみの刑事、会田は偶然美保子の事件を追うことになる。野田は会田と再会するが、まだお互いに事件のことは知らない。
野田の生活も美保子と同様に追い詰められていき、ついに事件が起きる。。。

全編に、じりじりとした焦燥感が漂う作品。普通の生活を送っていたはずの男が、だんだんとレールが外れていって、ついに殺人犯になるまでを濃厚なタッチで描いた力作、さすが高村文学、、、とは思わない(笑)。

まず、野田と美保子の間に、なんでまた愛情が復活するかもわからない。人生を狂わせる女、という説得力が私にはまったく感じられない。まぁ、私自身が女で人生を狂わせるタイプじゃないこともあるだろうが。できるなら狂ってみたいもんです(苦笑)

賭博にいれあげる会田刑事の心理もわからない。私はバクチはしないもんなぁ。人生そのものがバクチでんがな(笑)

早い話が、登場人物の心理というか生理がまったく自分と違うので、なぁ~んにも共感できないわけですわ。で、ストーリーで面白い小説というわけでもないしね。
このくらい世界観が違うと、なんだかカミュの「異邦人」のような不条理さを感じる小説だと思ったのだが。しかし、本書を「不条理小説」として読むというのはアリなんだろうかね?
「なんで人を殺したのか?」
「熱かったからです」
それしかないように思うが。

評価は無☆。
これはダメです。私には見事に合いませんでした。ええ、「性格の不一致」です(苦笑)。
昔から「情念」とかが苦手で、かつ嫌い。だって、自分には理解不能なんだもん、面白くない。
私は、透き通ったあっさり醤油味なんですなぁ。