Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ぬけがら

東芝メモリ事業の売却先が、日米韓連合になりそうだと言う。
これで東芝も一息つく、ということだろうが、東芝に貸しこんでいる銀行さん以外にとっては、あまり良いニュースではないと思う。
議決権の過半数を経営革新機構が握り、残りが米ベインキャピタルと韓SKハイニックスという布陣である。
韓SKハイニックスは経営権を握らない状態である。

一見、良い条件のように見える。
しかし、である。

この構成の中身をみると、日本の経営革新機構は、それ自体は官製の再生ファンド。
そして、米ベインキャピタル投資ファンドだ。
つまり、両方とも事業を持っていない。
事業を行っているのは、韓SKハイニックスだけだ。

韓SKハイニックスは、東芝フラッシュメモリ技術の盗用で2014年に東芝と330億円で和解している。
いわば「パクリ前科一犯」である。韓国企業だからねえ。
そのSKハイニックスだけが、株主の中で唯一、実業を行っていることになる。
経営革新機構も、ベインキャピタルも、ファンドであるから、最終的には出口、つまり株式を売却するだけの話である。
さて、メモリ事業でがっちりと、唯一実業を行っているSKハイニックスが食い込んでいる会社の株式を、いったい誰が買い取るだろうか?
SKハイニックス自身か、せいぜい、同じ韓国企業しかないのではないかな。

しかも、実際の東芝メモリの製造設備や技術のことがわかる役員は、経営陣の中でSKハイニックスしかないわけだろう。

これでは、目先は「日本主導」のように見えている包装紙であるだけ、だろうと思うのである。
中身があっち。

東芝メモリは終わったんじゃないかな、と。

原発で大赤字をぶっこいて、カネのなる木のメモリ事業を売り飛ばす。
実際、フクシマの後始末を続ける会社は、東芝しかない(誰がやりたいか、そんなもん)から、生き延びさせるより他にないだろう、という政府の意向があるんだろうな、と思う。
かくして、日本の名門電機がまたひとつ、終焉していくのである。

前途多難な構成にしか見えないが、メモリ事業自体は、これからまだまだ、伸びしろがある。
電源を切っても記憶内容が残るフラッシュメモリなくしては、スマホもIOTも不可能だからだ。
いわゆるウェアラブル端末まで含めて、これからフラッシュメモリの需要も、大容量化もさらに進むだろうと思う。

すべては、これまでの経営判断の結果である。
政策もそうだが、経営が官に傾くとどうなるか?ということである。
自分の手で市場を切り開く気迫を失った企業の末路に思えてならないのですねえ。