Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

伝家の宝刀について

抜かないところに価値があるんだなぁ。つまり「抜いたらスゴイぞ」と思わせる。で、結局、抜かない。
抜いちゃったら、どんなにスゴくても、程度は見えてしまうんである。というか、抜いた場合はホントにスゴイ以外にはしょうがなくなってしまうからね。

私の祖父は、満州事変、支那事変、大東亜と砲兵として3回応召され、インドシナ半島で英軍に右肩貫通銃創を負わされたので除隊となった。運良く帰国できたので、国民学校の校長をやった。たいへん優しい祖父だったが、国民学校のときも悪ガキ達がタバコを吸うの黙認していたという。陸軍の教官が来る前に「おい、こっちに隠れろ。早くすってしまえ」とやって、あとは知らんぷり。おかげで、村中で後々まで感謝する人がたくさんいた。除隊時、軍曹になっていた。ともかく戦死しないですみ、2等兵から軍曹へ昇進したのが歴戦の勇士であることは、ちょっと旧軍に詳しい方ならお分かりいただけようと思う。

その祖父が、英軍との戦争について語ったことがある。
私「英軍は弱かったんじゃないんか?」
祖父「アホウな!英軍は強かった。勇敢だったわ。とにかく、こっちは食い物がないし、ヒコーキがない。馬鹿にして、低空で機銃掃射してくるんで、みんな固まっちゃいけん。バラバラになって山に隠れておって」
私「こっちのヒコーキは?」
祖父「たまぁにしか来ん。そんで、こっちのヒコーキがくると、一目さんに逃げる。しばらく、こっちのヒコーキがいると、よってこない。で、居なくなったら、またやってくるんだ~。あんまり頭にくるもんで、とうとう小銃で一斉射撃して落としてやろうとしてなぁ」

どこかの教育団体が、自衛隊のF15の航続距離を示した地図を出して「こんな遠くにいける戦闘機が、日本を守るだけなのにホントに必要なのかな?」などと子供に教えこんだりするらしい。
祖父の話からわかるのは、ヒコーキは、滞空時間がないと役に立たない、ということなのだ。
滞空時間=航続距離。どんな強いヒコーキだって、すぐに帰っちゃうんじゃあ、護衛もできないよ。
ありゃ高いのだ。それで役にたたなけりゃ、それこそ税金の無駄遣いなんである。

きっとそういう地図をみた子供は「あらぁ、ホントだわぁ。日本を守るだけなのに、ジャンボみたいに外国に行けるなんて、きっとまた外国を攻めようしてるんだわぁ」などと考えててしまうだろう。
私のように、祖父から話を聞いたりできないだろうし。

戦闘機は、ジャンボみたいにまっすぐ飛ぶわけじゃないし(一直線にずーっと飛んでたら打ち落とされてしまうじゃないか)地上部隊を援護するときはぐるぐる旋回する(だって、速度が違うから)。直線に直すと、かなりの長距離を飛べることになる。じゃなきゃ、役に立たない。
素人に軍事知識がないのを悪用した、非常にタチの悪いプロパガンダだと思うなぁ。

こういう、他人の無知につけこむやり口を、私は憎む。
こんなやり方をするから、その人達の言う「平和」とか「人権」とか、私は全然信用できなくなってしまうのだ。人が無知なのは罪ではないが、人の無知につけこむ人は罪深いだろう。
見ろ、おかげで40過ぎの中年独身男が「保守」だ「右翼」だと言われるハメになる。
ますますモテなくなってしまう。うう、ちくしょ~~。。。(泣)

一般国民に、軍事の知識がないのは事実だろうと思う。
防衛白書とか、その道のマニアとか(笑)日本は言論の自由があるから、それなりに情報はある。だけど、軍事知識自体に、嫌悪感を持つ人は多いからなぁ。。。

「伝家の宝刀」は抜かないところが良いのである。
つまり、平素から「抜かないで済む方法」をちゃんと考えてなきゃダメだろうと思うのだ。
単なる軍事力以外にも、防衛には
・経済的防衛
・外交による牽制
・外交による同盟
心理的防衛
・宗教的防衛
・離間策
・後方撹乱
など、いろいろな防衛があるように思われる(うん、ちょっと思いついて並べてみただけ)まだまだ、いろんな方法があるはずである。というか、「ありとあらゆる方法」を考えてなくちゃダメだろう。

だけど軍事的知識だけは除外って訳にもいかないんである。「抜いたとき」のことも考えて、それを含めて、抜かないで済む方法を考えなけりゃ、机上の空論になってしまうのではないかな?
前の大戦の時だって、米国の軍事力について、正確に認識した国民が多くいれば、もっと違う展開だってあったかもしれないと思うのだ。マスコミ報道もひどかった。「報道規制」というけど、戦前だって、たとえば世界の海軍力年間「ジェーン年鑑」は、ちゃんと一般でも手に入ったんだよ。(現在でもジェーン年鑑は毎年出てます。今でも海軍に関しては権威みたいですね)

「伝家の宝刀」の中身が、竹光じゃ仕方がないんだからねぇ。。。

*「伝家の宝刀」だから核武装すべし、という議論も当然あると思いますが。この問題は、私自身、正直にいってメリットとデメリットの両面があると思っております。現時点では保留とさせて頂きます。