Single40'S diary

「40過ぎて独身で」の作者が、あっというまに50代を迎えたブログ

漂流

「漂流」吉村昭

ふとしたきっかけでAmazon PrimeVIDEOで「ALONE孤独のサバイバー」というコンテンツを見たら、あまりにも面白い。
これはテレビ番組の企画のようで、無人島に10名の挑戦者が10種類の道具だけを持って上陸させられ、そこでサバイバルする。途中でギブアップすると脱落。
最後の一人になれば賞金50万ドルがもらえるというものである。50万ドルは人生を変える金だから、皆真剣である。寝場所、食料、飲料水の確保と、さらに孤独との戦いで目が離せない。
ちなみに、ビデオは挑戦者自身が回しており、カメラクルーもいない。

で、そういう「サバイバルもの」でいえば、古典は「ロビンソン・クルーソー」だし、かのベルヌ先生には「15少年漂流記」という名作がある。
その名作をもっとリアルに残酷にすると「蠅の王」になるであろうか。
しかし、「孤独のサバイバー」という意味では、本書のほうがよりふさわしい。

この小説は実話を題材にしている。江戸時代、土佐の水主、長平ほか4名が水戸からの帰路に難破し、黒潮に押し流されて太平洋の鳥島に流れ着く。
現地はアホウドリの繁殖地で、火山島であり、誰もいない。
仲間は次々と死ぬが、長平は強靭な精神力とサバイバル技術で生き抜く。
やがて、そこに摂津、つづいて薩摩の船も難破してくる。
長平は彼らにサバイバル技術を教えて、一度は「この島で一生を終える覚悟をすることが生き抜くために必要」だと説く。
しかし、人間はそこまで悟りきれない。
彼らは苦心惨憺し、流木を拾い集めて船を作り、やがて島を脱出する。
御籤をつくり、神意に沿って進んだ先には青島があり、かれらは有人の島にたどり着いた。
それから好天の日を選んで再び出航、ついに幕府の出先がある八丈島にたどり着く。
こうして、彼らは九死に一生を得て、故郷に帰ることができたのである。長平が難破してから、実に12年の月日が流れていた。


江戸時代の実話を著者が取材して、淡々とした筆致で長平たちの苦闘を描く。大仰な描写はない。それが事態の深刻さと、それに立ち向かう長平の意思を強く描き出す。
素晴らしい。
評価は☆☆。
一読して損はないなあ。名作。

我々は現代の文明に囲まれて生きており、本日も雨降りの中を電車に乗って仕事場に出社している。
しかし、「孤独のサバイバー」だと、雨の日はテントで休むしかない。海が荒れて食料は手に入らないからだ。
私の愛猫も雨の日はろくに起きてこず、ずっと寝ている。野生の本能では、雨の日は休養である。獲物がとれない。
私は、実は休日が雨なのは嫌いではない。もちろん、好天に恵まれれば自転車で遊びに出かけるけど、雨の日は家にいてのんびりと音楽を聞いたり読書をする。
晴耕雨読といいますが、たしかに人間本来の摂理からすると、理にかなっているのかもしれませんなあ。