Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

バカの壁

バカの壁養老孟司

いわずとしれた大ベストセラー。おそまきながら、である。

この書は聞き書きであるから、きちんと構成されているわけではない。
だから、いろんな読み方ができると思うのだが。

自分が知りたい、理解したくないと思うこと自体が、まず壁になる。
しかし、だから「それは壁である」と非難しても、なにも始まらない。つまり、この論理によれば、非難する側も「バカの壁」にはまってしまうからである。
つまり、人間というものは「話せばわかる」存在じゃない。話してもわからない。わからないこと自体が限界なんだけど、「わからない対象」の問題としないで「わからない自分」の問題として考えよう、ということかと思う。

たとえば。
靖国参拝の問題などが代表的だと思うが「賛成派」と「反対派」は互いに主張しあっている。賛成派は、反対派の言い分が間違っているように思えるし、反対派は賛成派を馬鹿だと思っているであろう。それは、靖国参拝自体の問題じゃなくて、相手の言い分が理解できないし、しようとしないことが問題なのである。
それ自体が壁だということである。そこに異論はない。

ただ、こういうスタンスは「無定見な相互主義」「価値相対主義」に陥る可能性も秘めている。この問題も、著者はきちんと指摘している。
しからば、どうすればいいだろうか?

どうやら、それが養老教授の言う積極的な「無思想のすすめ」につながっていくのだろう。

ところで。
ネットでこの本の書評を見たら、ずいぶん人によってばらばらに書いてあった。なんというか、もちろん自分も含めて「バカの壁」って、やっぱりあるんだなぁと実感した次第である。