Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

パートタイム・サンドバック

「パートタイム・サンドバック」リーサ・リアドン

パートタイム・サンドバックとは、父親が兄弟の兄につけた渾名である。家庭内暴力だけが楽しみのような、どうしようもない父親が居る。弟が、父の暴力の餌食になる。兄は、弟を助けて父の暴力を受け、それが原因で知的障害者になってしまう。
母親は、ガンの苦しさに堪えきれず、兄に毒をもってこさせて自殺。弟を守ってやってという遺言を守った結果だった。
兄は、自分を殺して欲しいという祖父を殺す。彼は、知的障害で、善悪の区別がつかないから、自分は良いことをしたと思っている。弟は、兄の身替わりに殺人犯となり、ベトナムに従軍志願することで釈放となる。
やがて、弟は復員したが、戦場におけるPTSDに悩まされ続ける。
そして、兄は再び、善意の殺人。。。

なんとも救いがない物語だ。
巻末、彼らの友人が、一抹の希望をともすのだが、それまで読んでいると、救いなんて一切信じられない。
ひたすら、無情な描写が続く。

なんてしようのない小説だろう、と思いながら、読み終わって、すぐに再読してしまった。何かの救いを感じたかった。
しかし。

アメリカ伝統のハードボイルドチックな乾いた文体がひりひりと感じられる。
イヤだ。こんな小説は読みたくない。
これは娯楽じゃないだろう。
これが文学だというなら、こんな不幸な文学は、今の私には必要ない。

あえて評価はしないことにする。たぶん、死ぬまでもう読まないだろう。