Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

ウェストポイントの幽霊

「ウェストポイントの幽霊」ティモシー・R・オニール。

ウェストポイントは陸軍士官学校があるところで、この卒業生には有名な将軍がごろごろいるのである。あのリー将軍とか、マッカーサー元帥とか。
で、そのウェストポイントのある部屋で「幽霊が出る」と生徒が騒ぎ出したのがきっかけ。
そこで、教官の将校が部屋に温度計やら心電図やらを持ち込み、徹底的に科学検査する。生徒自身に催眠術をかけて、その場の状況をしゃべらせるようなこともする。
しかし、どうしても虚言だとは思われず、実際に幽霊らしきものが出ると小さな泣き声が聞こえ、部屋の温度が下がるという現象が起きる。

やがて、教官の妻が図書館でウェストぴポイントの幽霊に関する記録があるらしいことを発見する。この幽霊は、ずいぶん昔から出現する歴史的な幽霊だったわけである。そのきっかけとなった悲惨な事件(南北戦争の頃までさかのぼる)も明らかとなる。

ついに、教官は、真相を確かめるべく、自分自身がこの部屋に寝てみることに。そして、怪現象が起こる。

評価は無印。う~ん、、、である。

この「ウェストポイントの幽霊」は実話で、この著者は実際にウェストポイントの教官だった。だから「ホラー小説」となっているものの、実際はノンフィクションかもしれない。
しかし、いまいち入り込めないのである。たぶん、この小説はストーリィではなくて、主人公の教官とその妻の該博な知識から出てくる蘊蓄、とくにアイルランドゲール語だとか詩だとかが重要なキーになっているのだ。ところが、こちとらは悲しい極東日本人。つまり、英語に比べてゲール語が、たとえばアイルランド出身にアメリカ人にとっていかなる感興を呼びおこす代物か、さっぱり理解できないのである。
その上、この話には、ちょいとした恋愛話もからんでいるのだが、このあたりの機微もさっぱり理解できない。
途中から、えんえんと理解不能な話に相づちを強要されるような状態となり(あるでしょう、そういう経験)すっかり苦痛になった。
大ハズレである。ちぇ。

こうなってしまった原因だけど、たぶん、訳文にも問題があるんだと思う。原文を読める人が読んだら、きっと違う感想を持ったかもしれない。私が思う「読みにくい訳文」そのままの生硬な感じで、海外小説好きの自分でもつらかった。おそらく、日本のホラー小説ファンが手を出したら、大いに苦戦するのじゃなかろうか。
これ、訳をなおしたら、たぶんもっと良くなるのじゃないかな。原文が長すぎるのもあると思うのだが、途中からだれてしまい、肝心のラスト近くのクライマックス近くの怪現象では初期のP・K・ディックの翻訳なみのわからなさに陥っている(笑)
あ、そういう人たちには懐かしさで受けるかも!(笑)