Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

鬼畜の所業

昨日、連休も最後であるので、暑気払いに老師をお誘いした。
老師は、紀元前200年代に、世界の東西にハンニバル項羽という天才戦術家が同時に存在したことを指摘し、私の蒙を啓いてくれた。
あまりに卓抜な指摘に、思わず平伏する私であった。

私「老師よ。いつもながらの卓見、さすがでございます。ついては、その、いささか下世話ではございますが、現下の我が国の情勢に関しても、一言頂戴できませんでしょうか?」
老「うむ。今や選挙期間に入る故、政治活動は慎むべきと思うておるでの。であるから、特定の個人、政党を対象にした話はせんぞ」
私「ごもっともでございます」
老「そこで、あえて言えば、じゃ。やはり、財政再建の問題を、やはり避けては通れぬわの。言えば調子が悪いので、どの政党も言わぬがな(苦笑)」
私「それこそポピュリズムですねえ」
老「考えてもみよ。膨大な借財がありつつ、今の生活が苦しいから年金をよこせ、税金は払わぬ、医療費も払わぬ。とどのつまりが、国債であろう。つもりつもって800兆円じゃ」
私「おっしゃる通りです」
老「このままでは、我らが子孫はどうなることか。であるにも関わらず、今さえよければ良いというので、国民は『とにかくよこせ』の大合唱。たった1割の負担をお願いした後期高齢者医療制度で、宰相の首がとぶ有様じゃ。それゆえ、今度の選挙でも、政治家はバラマキ合戦をやっておる」
私「ははあ。プライマリーバランスの回復も、格差社会批判と世界同時不況の前に雲散霧消してしまいましたね」
老「しかれども、である。子供は仕方がないが、老人は、過去の人生の結果としての現状を受け入れる義務というものも、多少はあるはず、これが道理じゃ」
私「なんと、厳しいお言葉かと」
老「されどのう。もとをただせば、現在の日本をつくってきた責任もあるのじゃろ。たとえば、ワシもお前も、妻帯もせず子供を作らぬ非国民じゃろ?」
私「うう、その通りのようで。。。無念にございます」
老「自由恋愛なんぞ、米国製品の憲法ともどもやめてしまえばいいのじゃ(苦笑)されど、子供を作らぬから非国民扱い、そんな国をつくった連中は、そりゃ今の老年に決まっておるわな。ようも自分らの子供世代の悪口を言えたものじゃろ?お前らの教育にも問題があったわけじゃろ」
私「老師よ。今日は御酒が過ぎたのか、いつにもまして過激な」
老「酒は災いの元じゃからなあ。ついでに言えば、オンギャーと生まれて借金600万円となれば、これは後々深い禍根となる」
私「それはそうでしょうが、、、みんな、それは同じでしょうから」
老「馬鹿者めが。考えてもみよ。もしも、財産なき家庭に生まれた子供は、人生マイナス600万円からのスタートとなる。財産600万円の家庭に生まれた子供は、プラスマイナスゼロからスタートじゃ」
私「ああ、そういうことになりますね」
老「マイナスとゼロの違いの大きさは、ゼロとプラス600万円の差の比ではないのだぞ。マイナスのスタートは、取り返すのに並ではない苦労となる。いったんプラス100万円になれば、600万円にするのは比較的楽なのじゃ。つまり、もともと財産の少ない家庭の子息の格差を、いちだんと拡大する危険が大だということじゃ」
私「ああ、そういえば、なんとなくわかります」
老「格差批判をするのなら、これから生まれてくる世代の格差をどうするのか、それこそ大問題である筈じゃろうが」
私「そういう見方もありますね」
老「なに、もっと簡単にいえば、問題は単純なのじゃ」
老師はぐいっと酒杯をあおり、私の顔をみて、のたまった。
老「子供をカタにして、己の生活の安逸を望む、これをなんというか」
私「。。。」
老「それを、鬼畜の所業、と申すのじゃ」
私は、厳しい老師の言葉におののきつつ、ようやく一つ、聞くことができた。
私「老師よ。さすれば、今、これだけ財政が厳しく、また、高齢化社会となっておりますが、いかにすれば良いのか?老師の方策をお示しください」
老師はおっしゃった。
老「簡単じゃ。ガマンするのじゃ。老人はガマンせよ。ほかに手のあるはずもないわい」
そう言って、老師はニンマリと笑った。
老「ワシは選挙に出ないからの。好き放題の言いたい放題じゃ。失うものがなければ、人は自由でいられるものじゃのう。わっはっは」