Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

死角

「死角」マイクル・コナリー。副題は「オーバールック」。

オーバールックとは、展望台のことである。
ボッシュ刑事は、夜中に上司の電話を受ける。緊急出動である。
展望台で、後頭部から射殺された死体が見つかる。至近距離から2発である。
射殺されたのは放射線を扱う医師であって、ひざまずかされて射殺されていることから、いわゆる「処刑」ではないかと思われた。
なんらかのトラブルに巻き込まれて、私刑を受けたのだろう、というわけである。
ところが、その医師が放射線治療につかうセシウムを持ち出しており、その行方が分からなくなっていることが判明。
そこに、FBI捜査官レイチェル・ウォリングが現れる。彼女の現在の職務は国家安全保障部門である。
イスラム原理主義者のテロリストが潜入し、被害者の医師を脅迫して、セシウムを持ち出させた疑いがでてきた。
ボッシュは、貴重な目撃者として、カナダから家出同然の旅をしてきた少年に会うが、その少年は銃声の前に「アラーアクバル」という叫び声を聞いたという。
レイチェルとともに医師の自宅へ赴くと、そこには医師の妻が全裸でしばられていた。
犯人は、その画像を医師にメールで送りつけ、脅迫してセシウムを持ち出しさせたと思われた。
ボッシュは射殺犯人を追うことを優先するが、レイチェルはセシウムによるテロを警戒し、セシウムの回収を優先すると主張する。
やがて、不審な車両を発見。ボッシュは、コンパートメントに入っていたセシウムによって被爆する。
そして、ついにセシウム発見。ゴミ回収作業車の作業員が、大量被爆によって重症となった。
ボッシュは、ここで真相に気がつく。。。

マイクル・コナリーによるボッシュ・シリーズの最新翻訳。
いつもと違って、やや分量が少なめなのは、もともと雑誌連載だからである。
そのためか、やや軽いタッチの仕上がりである。

評価は☆。ボッシュシリーズにしては、もう一つかな。
それでも、充分に水準は確保していると思う。

こういう職業作家というのは、大したものだと思う。
いつも、一定の品質を保った作品を出してくるからである。
あたかも、一流の職人のレストランの食事が、出来の善し悪しを必ず一定にしてくるのと似ている。
一品一品の出来が、毎日そのつどブレるようでは、よい職人ではない。奇跡の一品は、芸術家ならば良いけれども、職人は安定度が大事なのだと思う。
揚げ具合が毎日変わるトンカツとか、焼け具合が毎日違う焼き鳥屋は、やっぱりマズイのである。

などと書いていたら。なんだか、本当に焼き鳥が食いたくなってしまった。
どれ、今日は一杯やって帰ろうか。