Single40'S diary

「40過ぎて独身で」と言ってる間にはや還暦のブログ

微妙な判断

本日、最高裁は「DNA鑑定があっても、民法上の嫡出の推定は有効」だという判断を示した。

現在の民法では、婚姻した夫婦間に子供が生まれた場合、嫡出子である、という推定をする(自動的に嫡出子として扱う、ということ)。

今回の事例では、奥さんがカミングアウトした。「実はアナタの子じゃないのっ!」
で、夫婦は離婚。
奥さんは、子どもを連れて、新しい夫と結婚した。この新しい夫が、DNA上の真の父親、である。

ここで、元夫が訴えた。「待て、その子は俺の子だ」。
元妻は「この子の本当の父親は、今の夫なんです。あなたと血がつながっていないので、あなたの子じゃありません」という。
最高裁は、元夫の言い分を認めたわけである。

元夫は、「これで、ようやく子供を、自分の子として呼べる」と喜んでいるそうである。この子は4歳だそうだ。

さて、どうであろうか?
私は、非常にビミョーな気持ちになった。

4年間を過ごした子供を、わが子と呼びたい元夫の気持ちは、わからんではない。
しかしながら、現在、元妻と結婚している現夫の気持ちはどうであろう?
実は、血がつながった自分の子供である。離婚した元妻と結婚したのは、もちろん妻に対する愛情もあろうし、また「実は自分の子」に対する責任もあろうと思う。
何を隠そう、年々、この子は自分に似てくるであろう。指の形、耳の形、探せば自分とそっくりな個所がいくつも見つかるはずである。

しかしながら、この現夫の立場にしてみると、この子は、血がつながった子供でも、法律上は永久に「連れ子」のままで、元夫からの面会要求を断ることもできないのである。

妻の立場にしてみれば、また、どうであろう?
婚姻期間中に、不義をしたのである。そこで間違いをしてしまった。
しかし、産んだのは、やはり愛情であろうと思う。
そして、真の父親は逃げることなく、自分と結婚して一緒に子供を養育してくれることになった。
「間違い」をやり直せる、と思ったことであろう。
しかし、法律は、その間違いは永久に間違いである、というわけである。
偽りの家族だと彼女は知っていて、その偽りを正そうとしたと私は思うのだ。しかし、法は、それを認めてはくれなかった。

法の趣旨は、子どもを守ることである。
そのためには、生物学上の真実にかかわらず、法律上の形式を守らねばならぬ、ということであろう。

しかし、私は、やっぱり割り切れない微妙な気持ちを抱かざるを得ない。
血のつながりの真実に基づいて、家族を作り直した妻と現夫の決断が、子どもにとって不利益をもたらすと思えないからである。

どうなんでしょうかね?